シャネルにヴィトン、加熱するハイブランドのK-POPアイドル起用…“クラス分け”など弊害も大きく

2023年12月19日 話題

今や大きなムーブメントとして世界を席巻しているK-POP。それに伴い、数々のラグジュアリーブランドがアイドルたちをアンバサダーに迎え入れようと競争が激化している。

【画像】カルティエアンバサダーのBTS・V、フェロモンダダ洩れ

アンバサダーはコレクション、ファッションショー、スチール撮影などの活動や、SNSを通じてブランドをPRする役割だ。一般的な広告モデルとは異なり、ブランドイメージ自体を高めるために起用されるケースは少なくない。

そのなかでも、ラグジュアリーブランドのアンバサダーに抜擢させることはスターとしてのバロメーターでもある。アーティストたちのハイクラスな雰囲気を見せるのに大きな役割を果たし、所属会社も先を争ってアンバサダー抜擢のニュースを伝える時代となった。

猫も杓子もK-POPアイドル

2015年、BIGBANGのG-DRAGONがアジア男性として初めて「2016 CHANELハウスアンバサダー」に選ばれたのが始まりだった。当時は珍しかったが、今となってはK-POPスターを掲げていないブランドは見当たらない程だ。

続いてBLACKPINKのジェニーが同ブランドのアンバサダーとして活動し、“人間CHANEL”というニックネームを得た。BLACKPINKはほかにも、ジスがDior、ロゼがSAINT LAURENT、リサがCELINEなど、メンバー全員がトップブランドの顔として活動している。

BTS、J-HOPE
(写真=Louis Vuitton)BTS・J-HOPE

歌手はブランドの高級なイメージを獲得でき、ブランドはK-POPスター特有の活気に満ちた若さを借用できるという点で、「Win-Win」だと言えよう。

そして今、ブランドアンバサダーの年齢層は徐々に低くなっている。昨年はNewJeansがデビュー9カ月目にしてメンバー全員が選ばれ、今年はSMエンターテインメントの新人RIIZEがデビュー98日という短期間でLouis Vuittonのハウスアンバサダーに抜擢され、話題となった。

RIIZE、Louis Vuitton
(写真=Louis Vuitton)RIIZE

このほかにも、IVEのウォニョンがMIU MIUとFREDのグローバルアンバサダーに、ユジンがFENDIの韓国アンバサダーに就任。aespaはGIVENCHY、CHOPARDのグローバルアンバサダーとして活動している。BTS・J-HOPE、Stray Kids・フィリックスがLouis Vuittonグローバルアンバサダー、BTS・JIMINとTOMORROW X TOGETHERがDiorグローバルアンバサダー、Stray Kids・ヒョンジンがVersaceグローバルアンバサダーとして活躍中であり、EXO・カイはGucciとのコラボで多様な製品を発売したりもした。

アイドル着用商品は「完売」

TOMORROW X TOGETHER、Dior
(画像=『DAZED KOREA』)TOMORROW X TOGETHER

このように、ブランドがアイドルの迎え入れに積極的な理由は、ブランドが持つ高級感にアイドルの若いイメージを加え、選好度を高めるためだ。さらにK-POPのメインファン層である10~20代の売上上昇も見込めることも挙げられる。

実際に数字にも表れている。2021年からBLACKPINK・ジスがグローバルアンバサダーとして活動中のDiorは、“ジス効果”によって2021年の韓国での売上が前年比2倍程度跳ね上がり、昨年は約3倍に急騰。Diorのピエトロ・ベッカーリ会長は「YGエンターテインメントがジスを解雇すれば私が連れて行く」と言及するなど、特別な愛情を表わしてきた。

またCartierのアンバサダーを務めるBTS・Vの場合、彼が着用した高額ネックレスを大勢のファンが購入したことで話題に。NCT・ジェヒョンが着用したPradaのムートンジャケットは900万ウォン(約90万円)を越える価格でも、韓国では品切れ状態になったほどだ。そしてBTS・JUNG KOOKが顔のCalvin Kleinは、彼がアンバサダーに抜擢されたあと、日本で品切れ事態にまで発展し、強大な影響力を立証した。

あるファッション業界関係者は、「昨年はMZ世代のブランド品消費額が急増し、ブランド側も、より幼いアイドルをアンバサダーとして好む雰囲気だ。若いスターやインフルエンサーが、SNSを含む各種メディアでPRするケースも大幅に増えた」と話す。

BLACKPINK、ジス
BLACKPINK・ジス

アンバサダーになったアイドル側のメリットも大きい。ブランドイベントや世界的なファッションショーなどに参加し、海外の有名スターたちと肩を並べることで“後光効果”を得ることができるためだ。ある音楽業界関係者は「アイドルメンバーたちがハイブランドを望むのも事実だが、企画会社もアーティストたちの高級な雰囲気を作り、海外有名アーティストたちとの出会いのためにブランドとミーティングをたくさんしている」と明かした。

10代の購買意欲刺激、副作用も…

一方で副作用も少なくない。アンバサダーの年齢が10代まで下がり、青少年の購買意欲を過度に刺激するという懸念の声は絶えず提起されてきた。

ある業界関係者は「メイクから衣装、言葉遣い、行動まで、アイドルが10代に及ぼす波及力は物凄い。実際、10代の間では、好きなスターがアンバサダーを務めるブランド製品を買うためにアルバイトをしたり、両親の援助を受けたりすることも日常茶飯事だ」として、「同年代と比べて、ブランド品の購入が難しい子供たちは相対的に剥奪感を感じやすい」と憂慮を示している。

また、ブランドアンバサダー抜擢が、ファンの間ではアイドルの“等級”を分ける基準にもなっている。アイドルがアンバサダーになるケースは増えたが、ほとんどが大手事務所に傾く傾向にある。ブランド別の価格によってアイドルのクラスが分かれ、より高い製品のブランドを取ってくるのが所属事務所の能力と評価されるムードも漂っている。

ある中小事務所の関係者は、「グループ全員がハイブランドを着てライブを行うケースが頻繁になり、協賛に対する企画会社の圧迫もますます大きくなっている」として、「アンバサダーに抜擢されたとしても、どんなブランドで、どれだけ維持するかも非常に重要になった。“なぜメンバーたちにブランド品を着せてくれないのか”というファンの不満も多い」と過熱する“ブランド戦争”の弊害を吐露した。

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