歌詞はもちろん、BTSメンバーが発信する言葉には力強い響きを与えるものが多い。メンバーのなかでもグループを代表して発言する機会が少なくないRMは、なおさら心に刺さるメッセージを数多く残している。
去る11月にアメリカン・ミュージック・アワード(AMA)でアーティスト・オブ・ザ・イヤー(Artist Of The Year)など3冠を達成した際も、流暢な英語で「韓国から来た小さなボーイズバンドなので、この賞の意味が大きいと思う。ひたすら音楽を通じて話したかった。ARMYがいなければ不可能なことだった」と、メンバーを代表して感激を伝えていた。
ここではRMが残した心に刺さる発言やメッセージをピックアップしてみよう。
RMのインタビューやスピーチで驚かされるのは、とても謙虚だということだ。その態度はまさに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」で、BTSの成功が積み重なれば積み重なるほど慎ましくなっていく。例えば2018年10月、イギリス『ガーディアン』とのインタビューで現在の人気について問われると、こう答えている。
「この人気が永遠ではないことを知っている。今はジェットコースターに乗ったように、楽しんでいる。それが終わったら、ただ終わるだけだ。専用機に乗ってスタジアムでコンサートをしているが、それが自分のものだとは考えていない。誰かから借りてきたものだ」
そのため自分たちのアルバムを購入してくれるファンの行動に対しても、「音楽がインスタントのように消費される時代に、こんなにアルバムをたくさん愛してくれてありがたい。アルバムが絶対に必要な財貨でもないのに、買ってくれることは偉大で、大胆な活動だと思う」(2018年のMelonミュージックアワード)と独特の表現で感謝を伝えたりした。
どこまでも素朴で初心を忘れない態度は、JINが明かしたRMの言葉からも伝わってくる。今年3月にKBSで放送されたスペシャルトークショーに出演し、グラミー賞の単独ステージのエピソードを話していた際、JINは「RMの名言があった」と伝え、「“この映像は僕たちが死ぬ前に、子孫まで見る可能性がある。頑張ろう”と言った。みんなその言葉を聞いて意欲が出て、2時間の撮影を5時間ほどかけた」と明かした。
「子孫まで見るかもしれない」とリーダーが呼びかけ、それを聞いたメンバーが奮闘するというエピソードは、世界的なアーティストとは思えないほど素朴で微笑ましい。
もちろん、その態度は今現在もまったく変わっていない。2年ぶりの有観客コンサートとなった「BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE-LA」の記者懇談会でもRMは、「成功を100と考えれば、50はARMYの分だ。各メンバーが5を占めて計35、残りはHYBEとBIGHITによる結果だと思う。もし成功がトロフィーだとすると、僕が占める割合はほんの少しだ」と、謙虚な気持ちを伝えていた。
謙虚なスピーチやコメントの根源には、RMがこだわる“真心”という大きなキーワードがある。RMは2018年当時から真心というキーワードをとても大切にしており、『聯合ニュース』とのインタビューでBTSの成功の秘訣を語った際も、特に強調していた。BTSの成功は当時、SNSコミュニケーションによるものとの分析があふれていたが、RMは少し反論するように、こう答えた。
「BTSの大きなキーワードで見ると、成功の秘訣は“真心”と“実力”だと思う。大衆の目には真心がすべて見えてしまう。でも人々はSNSでコミュニケーションをたくさんしたというところだけに注目する。もっと重要なのは、僕たちは歌手だから、音楽のパフォーマンスやクオリティが良くなければいけないという点だ。それを備えた状態で、僕たちが伝えたい真心とメッセージ、そして僕たちが継続してやってきたコミュニケーションの頻度が合わさり、そのすべてをパン・シヒョクPDが選球眼を持って後押ししてくれた。自由を得て、僕たちもプレイヤーとしてハイリスクをとり、ハイリターンとなった」
非常に的確でわかりやすい説明だ。RMはBTSについて、いつも真摯に回答する。「最終的にBTSというグループとその歴史がひとつの作品になることが夢」といった目標に関するテーマにとどまらず、ときにはBTSの“取扱説明書”のような言葉を発することも。そのなかでも以下の2つはとても有名で、RMの名言の代表格だ。
「皆さんの夢、人生において、僕たちという存在が、僕たちの音楽が、ステージが、写真や映像がとても少しだけでも、痛みが100だとしたら、100を99、98、97に作ることができたら、それだけで僕たちの価値は十分だ」
「僕を利用してください。自分を愛するためにBTSを使ってください。あなたたちが僕自身を愛する方法を教えてくれたから」
BTSを知るための教科書のような存在のRMだが、彼にもわからないことがあるようだ。それはBTSの未来だ。ただわからない理由の表現がスマートだった。今年8月、米ビルボードとのインタビューでBTSは未来でどう記憶されるかという質問に、RMは「多分、僕たちの時間が終わったら明確になると思う」とし、「今の僕たちは台風の目の前に立っている。その誰も正確に前を見据えることはできない。台風が過ぎ去って、埃が収まったとき、僕たちの姿を知ることができる」と答えた。
スピーチやインタビューでの独特の表現からもわかるように、RMは話が上手い。しかもIQ148という凡人離れした頭脳の持ち主でもある。だからかBTS以外のことについて、文学的に、哲学的に語ることも。RMワールド全開の語録をざっと挙げてみよう。
「僕たちは最も忘れたいことを最もよく覚えている。記憶はいつも僕たちがそれを最も必要なときに僕たちから離れ、最も望まないときに僕たちに近づいてくる。望まない記憶で大変なときは、もともとそんなものだからと認めて、待つことだ」
「人間は両面的な感情を同時に考えるようにプログラミングされているようだ。それが人間が万物の霊長で、他の世界を支配したいと考える原動力だという。愛しながらも別れを考え、成功だと感じるときに墜落と失敗を同時に考える遺伝子がある」
「不安は影に似ていて、自分の背が高ければ高いほど大きくなり、夜になればさらに長くもなる。人間は誰もが必然的な孤独や闇を持っているから、安息地が必要だ」
「韓国語で“未来”は2つの部分で構成されており、1つは“まだその時が来ない(未)”、もう1つは“来る”という意味だ。その意味から“未来”は来ないことを意味している。つまり、未来は今であり、僕たちは今、僕たちの未来を生きているのだ」
個性的な発言から巧みなスピーチまで、心に刺さる言葉でファンを魅了してきたBTSのリーダー、RM。表現力と語彙力がますます上がっていく彼のメッセージは、これからも多くの人の心を動かしていくに違いない。
(文=呉 承鎬)
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