4月5日にメディア試写会を行った『楽園の夜』は、凄絶に美しいノワールだった。
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Netflixを通じて4月9日から全世界に配信される同作は、組織のターゲットとなった男・テグ(演者オム・テグ)と、人生の終わりに立つ女・ジェヨン(演者チョン・ヨビン)の物語を描く。
映画は、家族にだけは限りなく優しいテグの物語で始まる。家族の身辺に起きた変化によって暴走したテグは、その後に訪れた済州島(チェジュド)でジェヨンと出会う。
徐々に情がうつる2人は、何度も一緒に危機を乗り越えながら仲間としてお互いを思いやることに。しかし、彼らへの苦難と逆境は終わる気配がなく、あげくは凄絶さに包まれる2人の物語が、美しい済州島の趣と合わさってさらに凄絶で痛い。それでいて美しい。
『楽園の夜』は、『新しき世界』『The Witch/魔女』などで濃厚なノワールを描いてきたパク・フンジョン監督の新作。ノワールに忠実しながらもブラックコメディの要素と済州島の美しい風景を盛り込み、見どころ満載だ。もちろん組織の裏切り、復讐などジャンル的なクリシェも確かに存在するが、オム・テグ、チョン・ヨビン、チャ・スンウォンの熱演がそれらを圧倒する。
特にエインのストーリーをリードするオム・テグ特有の低音の声は、寂しくて孤独なテグ役とぴったりマッチしており、淡白だが芯の強いジェヨン役のチョン・ヨビンと、ドラマチックな要素を極大化するチャ・スンウォンのキャラクターも目立つ。
刀、銃などを用いた様々なアクションシーンや強烈なエンディングは、ノワールジャンルをさらに引き立てている。
パク・フンジョン監督ならではのスタイリッシュな演出が「第77回ヴェネツィア国際映画祭」でも好評を集めた『楽園の夜』。Netflixを通じて韓国や世界中の映画ファンを魅了するかどうか、注目が集まる。
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