低迷する韓国女子バレー、消えた“元エース”が27歳で引退 イ・ジェヨン、いじめ疑惑は最後まで認めず

元女子バレーボール韓国代表のイ・ジェヨン(27)が現役引退を決意した。

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バレーコートを離れて約3年が経過したなか、ファンへの突然の発表を通じて「第2の人生を始める」と明らかにした。

ただ、引退の最大の要因となった”いじめ疑惑”については依然として否定した。

イ・ジェヨンは7月14日、自身のファンコミュニティ「ジェヨンタイム」に「こんにちは、イ・ジェヨンです」という題名の投稿を掲載。

「あれだけ好きで、私の人生の全てだったバレーボールから離れています。予想もできなかった状況でとても大変でしたし、約3年が過ぎた今、私の状況についてどのように伝えれば良いかたくさん悩みました。このような悩みをしたのはかなり前からでしたが、いよいよお伝えしなければならないときが来たと思い、このように文を載せることになりました」と、引退を示唆するような文を残した。

イ・ジェヨンは1996年10月生まれの27歳。双子の妹イ・ダヨン(27)とともに、次世代の韓国女子バレーを担う看板スターとして10代の頃から活躍を続けてきた。

イ・ジェヨン、イ・ダヨン
(写真提供=OSEN)イ・ジェヨン(左)、イ・ダヨン

いじめ疑惑で転落した双子姉妹

ところが2021年2月、妹ダヨンとともに学生時代のいじめ加害疑惑が発覚。ネット上ではいじめの内容も伝えられ、「“汚いから”、“臭いから”と、隣に来るなと言われた」「“任せた仕事をしなかった”という理由でナイフで脅迫された」など、具体的な加害行為が記された。

2人は直ちに謝罪文を発表したが、当時所属した興国生命ピンクスパイダーズから無期限の出場停止処分、さらには韓国バレーボール協会から代表資格はく奪処分を受け、国内でのプレーが実質不可能に。結局、2021年10月に双子でギリシャに渡り、PAOKテッサロニキに加入して現役続行を図った。

新天地でイ・ダヨンが順調に活躍を続ける一方、イ・ジェヨンはシーズン途中に膝の負傷でチームを離脱。その後は復帰できず、シーズン終了後にチームを去った。

以降、2022年10月には韓国Vリーグ女子部のペッパー貯蓄銀行AIペッパーズがイ・ジェヨンの獲得を試みたが、世論の猛反発によって失敗に終わったことがある。

そんな姉と対照的に、妹ダヨンはルーマニアのラピド・ブカレスト、フランスのボレロ・ル・カネと順調に海外で選手生活を続けている。

また、昨年8月にはフランス出国前に韓国で応じた取材で、「その当時同じ場にいなかったにもかかわらず、イ・ジェヨンが私の過ちによって被害を受けることになった。双子だという理由で、私のせいでイ・ジェヨンまで一緒にバレーができなくなった。その部分を正したい。校内暴力事件はイ・ジェヨンとは関係がない」と、姉がいじめ疑惑と無関係であることも強調した。

イ・ジェヨン
(写真提供=OSEN)2021年10月、ギリシャ出国前のイ・ジェヨン

しかしその後、現在までイ・ジェヨンの消息が伝えられることはなかった。実質的な引退状態で時間だけが流れた挙句、イ・ジェヨンは引退を決心した。

彼女は「多くの方々が私が選手としてプレーする姿を待ってくださり、とても感謝しています。国内でなくても、海外であってもプレーすることを望むファンもとても多いということをよく知っています。海外でオファーがなかったわけではないですが、ギリシャ以降、海外は考えたことがありません」と明らかにした。

その理由は、現在も自身がいじめ加害者という事実を認めることができないためだった。

「自分がしなかったことまで認めてバレーをしたくはない」

イ・ジェヨンは「何より、私の心のなかで動機付けができなかったんです。理由はいろいろあると思いますが、無理に海外で選手生活を続けたい気持ちにはなりませんでした」とし、「復帰のため、騒動に対して合意することを願う方々もとても多くいらっしゃいましたが、自分がしなかったことまで認め、再びバレーボールをしたくはありませんでした」と本心を打ち明け、次のように続けた。

「私の過ちは謝罪し、反省しますが、虚偽事実に対して訂正し、正してくれない以上、何の意味があるのかというたくさん考えました。“違うことは違う”という私の気持ちに変わりはありません。このような私の心は諦めではないということも申し上げたいです。バレーをしている間、誰よりも頑張ろうと努力しましたし、それだけ思いっきりやってきたので、引退を控えて未練は大きくありません」

「予想できなかったし、苦しい過程を通じてこのように退くことになりましたが、ファンの方々に文を残す今は心がすっきりしています。バレーは今も大切な思い出ですが、良い記憶だけがあるわけではありません。とても大変で、辛かった瞬間もたくさんありました。事実でないにもかかわらず、誰かの一言であらゆる叱責を受ける苦痛の時間もありました」

「大変な時間があるたびに、ほかのどんなことよりもバレーで見せることが正しいと思いました。それで、ひたすら実力だけで認められるために、バレーだけを考える人生を生きてきたと思います。今振り返ってみると、二度と経験したくないほどの傷になった瞬間も多いです。それでも、このすべての瞬間を笑い、泣いてよく過ごせたのは、ファンの方々がいらっしゃったから可能でした」

「私を待ってくださるファンの皆様に残念な結末を伝えることになり、とても申し訳なく思います。でも、あまり悲しまないでください。運動だけしながら過ごしたときには周りを深く振り返る余裕もなく、自分自身を見る余裕もありませんでしたが、大変な時間を通じて多くの学びがありましたし、むしろ感謝することもたくさん考えた時間でした」

そんなイ・ジェヨンは最後、「今までのバレーボール選手イ・ジェヨンの良い姿、そして素敵に飛び上がった私の姿を忘れず、必ず記憶してくれることを願っています。そして、イ・ジェヨンの“第2の人生”も応援してくださるようお願いします。選手としてファンに恥ずかしくないようバレーをし、努力してきました。そのように、これからも恥ずかしくないイ・ジェヨンとして生きていきます」と締めくくった。

イ・ジェヨン
(写真提供=OSEN)韓国代表でのイ・ジェヨン

善明(ソンミョン)女子高校を卒業して、2014-2015シーズンの新人ドラフト全体1位で興国生命に指名されたイ・ジェヨンは、加入1年目からエースとして活躍。プロ1年目で満場一致の新人賞を受賞すると、2016-2017シーズンと2018-2019シーズンには正規リーグMVPに選ばれ、国内屈指のアタッカーに君臨した。

また、2018-2019シーズンのチャンピオン決定戦で興国生命を優勝に導くと、自身もMVPを受賞。Vリーグのベストセブンには計5回選ばれた。

韓国代表としては、FIVBバレーボールネーションズリーグのほか、2014年仁川アジア大会、2016年リオ五輪、2018年ジャカルタ・アジア大会、2020年東京五輪予選など、主要な国際大会に着実に出場した。

身長は178cmとアタッカーにしては低かったが、驚異のジャンプ力とバネを武器にした打点の高いスパイクをトレードマークとし、キム・ヨンギョン(36、興国生命ピンクスパイダーズ)に次ぐ次世代エースとして期待されていた。

(記事提供=OSEN)

◇イ・ジェヨン プロフィール

1996年10月15日生まれ。韓国・全羅北道出身。身長177cm。韓国のプロバレーボール選手で、元韓国代表。双子の妹イ・ダヨンもバレー選手。実父は陸上競技(ハンマー投げ)韓国元代表のイ・ジュヒョン、実母はソウルオリンピック代表セッターのキム・ギョンフィというサラブレッド家系。2014年のプロデビューから2021年1月まで韓国国内で活躍していたが、学生時代のいじめ発覚で物議を醸し、無期限出場停止と代表資格はく奪処分を受けた。その後、活躍の場を求め2021-2022シーズンはギリシャのPAOKテッサロニキでプレーしたが、膝の負傷でシーズン終了後に退団。以降は無所属が続き、2024年7月に現役引退を表明した。

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