韓国Kリーグ1(1部)の済州(チェジュ)ユナイテッドは6月27日、横浜F・マリノスから日本人MF吉尾海夏(25)を期限付き移籍で獲得したことを発表した。
背番号は47番で、登録名は「カイナ」。吉尾は済州でプレーする初の日本人選手となる。
吉尾は1998年6月28日生まれの25歳。横浜FM下部組織を経て2017年にトップチームへ昇格し、2018年にJ1デビュー。2019年はベガルタ仙台、2020~2021年はFC町田ゼルビアに期限付き移籍し、2022年から横浜FMに復帰した。
横浜FMでは2022年にリーグ戦9試合1得点、2023年に15試合1得点を記録したが、今季は現在まで出場がなかった。
済州は吉尾について、「169cm、66kgの体格を持つカイナは、主なポジションは攻撃的MFとウィングだが、戦術変化によっては最前線のフォワード、シャドーストライカー、左サイドバック、守備的MFまでこなせるマルチロールな選手だ。特に、セットプレーのチャンスではキッカーを務めるほど、左足のキックが“致命的”だ」と説明している。
また、「Kリーグファンにもカイナは馴染みのある名前だ」とし、「2023年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループG第1節の仁川ユナイテッド戦で、正確なコーナーキックから1アシストを記録した。仁川アウェイでは、フリーキックのチャンスで試みた強力な左足シュートでクロスバーを強打し、深い印象を残した」と、アジアの舞台での活躍も伝えた。
吉尾は済州を通じて、次のようにコメントしている。
「海外リーグ進出は初めてでプレッシャーもありますが、済州が自分を選んだ理由を、グラウンドで実力で証明したいです。オレンジ色の波の中でさらに発展し、済州とともにより高く飛躍したい。何より、早くチームに適応したいと思います」
チームを率いるのは、2021年東京五輪でU-24韓国代表で指揮を執り、今季から済州に就任したキム・ハクボム監督。指揮官も「若い年齢だが、Jリーグで多くの経験を持つ選手だ。多くのポジションを消化することができ、左足のキックが優れている。“貧攻”に苦しむ我々の悩みを解決してくれる新たな答えだ」と、吉尾の加入を歓迎していた。
済州は加入発表に併せて、吉尾が今月26日にホームの済州ワールドカップ競技場で行われた仁川(インチョン)ユナイテッドとのKリーグ1第19節を“サプライズ訪問”したエピソードを伝えている。
「カイナはすぐに言葉より行動で証明した。彼はオフィシャル発表の前日に行われた仁川戦をサプライズ登場すると、ロッカールームを訪問してチームメイトとハイタッチを交わし、連敗脱出をともに祈った。カイナは“ホームで重要な試合を控えた仲間たちに力をもたらしたかった”と伝えた」
「済州の12番目の選手を自らになったカイナの活躍はここで終わらなかった。当初はスカイボックスで観戦する予定だったが、クラブのフロントに了解を得て、済州の戦術をより詳しくキャッチするために、視野が良いことで有名な済州ワールドカップ競技場のテーブル席に向かった。カイナは代理人とともに、同日の試合を最後まで綿密に観察した後、スタジアムを離れた」
済州の関係者は、「これほどまでに情熱を見せてくれた外国籍選手がいたのかと感じる。早く適応するためにすぐスタジアムを訪れた。連敗しているという情報を受け、チームメイトに自分から近づいて応援する姿が印象深かった。試合には出場しなかったが、試合に集中し、仲間の動きや戦術的な部分を自らチェックする姿も目を引いた。済州の選手たちも、このような姿に好感を得たと聞いている」と期待感を示した。
実際、済州は吉尾が訪問した仁川戦で1-0の勝利を収め、直近まで続いたリーグ戦3連敗をストップさせた。現在は第19節を終えて7勝2分10敗の勝ち点23とし、12チーム中7位に位置している。
なお、済州にはかつてヴォルフスブルクやアウクスブルク、マインツなどに在籍した元韓国代表MFク・ジャチョル(35)のほか、元アルビレックス新潟、水戸ホーリーホックのDFソン・ジュフン(30)、元ガイナーレ鳥取のブラジル人FWユリ(26)などが所属している。
済州は次戦、6月30日にアウェイで光州(クァンジュ)FCとのKリーグ1第20節を戦う予定だ。
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