2020年シーズンのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)が、予期せぬ事態に頭を抱えている。
ACLは東アジアと西アジアに分かれ、グループステージから準決勝まで東西別にしのぎを削り、それぞれの地域を勝ち抜いた2クラブがアジア王者をかけて決勝を戦う。
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2021年シーズンからは出場チームが現在の32チームから40チームへと拡大され、アジア全域のすべてのチームに出場のチャンスが与えられる。
そんなACLは制度改編を来シーズンに控えた現在、予想だにしない壁にぶつかった。サッカーとは関係のない“人災”のために、正常な運営が難しい状況に陥ったのだ。
まずは西アジアの戦争危機。ACL本戦には毎大会イランから3~4チームが出場するが、イランでの試合開催はほぼ不可能な状態にある。イランとアメリカの軍事衝突により、中東情勢が不安定なためだ。
アジアサッカー連盟(AFC)は安全確保を理由に第3国のUAEでの開催を勧告した。当初はエステグラル、ペルセポリス、セパハン、シャハル・ホドロらイランの4チームは勧告に反発し、ボイコットの可能性も見せていた。
だが、プレーオフを目前に控えていたエステグラルとシャハル・ホドロはこれを受け入れ、中立地のUAEで試合を行った。2チームとも1月28日のプレーオフで勝利し、本選出場を決めている。
これにより、ACL本選にはイランから4チームが出場することになった。
AFCはプレーオフ前の1月23日(日本時間)に第3国での開催を決定した際、西地区のグループステージの第1節から第3節をイラン国外のアウェーで、第4節から第6節をホームで開催することに合意していた。
しかし、イランとアメリカの対立が長期にわたる場合、イランのホーム開催も保証することはできない。
この措置により、後々イランのチームから新たな反発が起きることが憂慮されている。
東アジアでは、中国・武漢で発生した新型肺炎の拡散による影響が不可避だ。中国全域に新型ウイルスが拡散されたことで、ACL出場チームからは反発が起きている。
上海上港(中国)とプレーオフを戦ったブリーラム・ユナイテッド(タイ)は、当初の開催地と日程の変更を要請した。しかし、現実的にAFCがそれを受け入れず、最終的に1月28日に上海で無観客で行われた。
またAFCは西地区同様、東地区のグループステージも第1節から第3節までを中国国外で開催することに決めた。
中国からは4チーム(北京国安、上海申花、広州恒大、上海上港)がACL本戦に出場する。これにより、第5節や第6節に中国チームをホームに迎い入れる予定だったKリーグの4チームは、前半戦で早くも中国チームとホームで対戦することになった。
中国開催の試合を4月の第4節以降に延ばしたとはいえ、その頃には新型肺炎が鎮圧されている保障もない。場合によっては新たに日程や開催地の変更が行われるだろう。
2020年シーズンのACLは思わぬ危機にさらされている。AFCもあらゆる対策を講じているものの、一時的なものに終わる可能性が濃厚だ。
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