卓球の“神童”シン・ユビン(15)は、2020年東京五輪に臨む韓国女子卓球の希望だ。
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女子卓球韓国代表は、ポルトガルで行われた2020年東京五輪の卓球団体戦・世界最終予選の第2ステージを勝ち抜き、本戦への出場を決めた。女子卓球韓国代表の団体戦出場は1988年ソウル五輪以来9大会連続だ。
韓国は第1ステージのベスト8決定戦での勝利に切実だった。そこで敗れた場合、同決定戦で敗れた計8チームによる最後の1枠をかけた第2ステージへと移行してしまうためだ。
第2ステージはトーナメント形式となるため、3連勝しなければ出場権を手にすることはできない。険しい道を避け、着実な出場権獲得を韓国は望んでいた。しかし、韓国はそのベスト8決定戦で北朝鮮に敗れ、オリンピック出場に早くも黄信号が灯った。
それでも、いばらの回り道で最高のシナリオを描いた。第2ステージでウクライナとスペインを続けざまに破り、決勝ではフランスを制した。負けてしまえば東京五輪を逃す瀬戸際で、結果を残して見せた。
立役者はシン・ユビンだ。
今月初めの選抜戦では、世界トップランカーが次々と脱落する異変が起きた。シン・ユビンもやはり苦杯を飲まされたが、韓国卓球協会の競技力向上委員会が選定した推薦選手として、韓国代表に選ばれた。
当時は、現在よりも未来を見据えた選択を執ったといえるだろう。しかし、今やシン・ユビンはもう代表のエースといっても過言ではない。
ベスト8決定戦の南北対決では北朝鮮のチャ・ヒョシムを圧倒し、韓国唯一の勝ち星を挙げた。絶対に負けられない第2ステージ決勝のフランス戦でも輝きを見せた。チェ・ヒョージュとペアを組んだダブルスで勝利すると、その後のシングルスでも完勝を収め、代表の先輩たちに東京五輪の切符を送り届けた。
シン・ユビンは5歳だった2009年にテレビで“神童”として出演し、韓国卓球界をどよめかせた。小学3年生で臨んだ2013年総合選手権大会では大学生相手に圧倒を見せ話題を呼び、2018年には14歳にして代表に選ばれるなど、さまざまな最年少記録を塗り替えてきた。
昨年のチェコオープンで優勝した混合ダブルスでペアを組んだ男子卓球の“神童”チョ・デソンは、「卓球というスポーツでエキサイトすると、得よりも損することが多い。ユビンは僕に比べてとても落ち着いている。僕が感情の制御を出来ないとき、横でコントロールしてくれる」と、パートナーを称賛した。
韓国女子卓球代表は、直近の監督交代劇で困難に直面していた。ユ・ナムギュ前監督が昨年末に個人的な事情で退任したが、その過程に国内トップランカーのチョン・ジフィをはじめとする選手たちとの不和が明らかになっていたのだ。
当面の監督代行としてチュ・ギョソン氏に指揮を任せていたが、仮にオリンピック出場を逃していれば韓国女子卓球に本当に危機が訪れていただろう。そんな、よどんだ空気に沈みかけていた韓国女子卓球を救ったのは、若き15歳の末っ子シン・ユビンだったのだ。
チュ監督代行は試合後、「フランスとの決勝では最初のダブルスが重要だったが、ここで勝てたことで肩が軽くなった。最後のシングルスでも、まだ幼いにもかかわらず大胆な仕上げを見せてくれた」と、シン・ユビンへ称賛の言葉を送った。
韓国女子卓球の未来を担う“神童”は、着々とエースの座に上り詰めていると言っても過言ではない。来る東京五輪での活躍に期待が集まる。
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