交代策が次々と的中!初優勝のU-23韓国代表キム・ハクボム監督の采配を振り返る

2020年01月28日 サッカー

選手を投入するたびに、その交代策が的中する。

史上初のアジアサッカー連盟(AFC)U-23選手権優勝に輝いたU-23韓国代表。優勝の要因には、間違いなくチームを率いたキム・ハクボム監督による采配が挙げられるだろう。

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韓国メディアから“知将”とも呼ばれるキム・ハクボム監督は、3~4日間隔で試合が行われる今大会で、出場選手を大胆に変更するローテーションに加えて実効性のある適材適所の采配を行い、グループステージから決勝まで全勝優勝を成し遂げた。

成功の骨組みには、“ベストイレブン”を据えない過酷な生存競争があった。

(写真提供=韓国サッカー協会)キム・ハクボム監督

キム監督はグループステージから決勝トーナメントまでの6試合で、先発メンバーを試合ごとに入れ替えた。グループステージ初戦の中国戦から第2戦のイラン戦では7人、第2戦から第3戦のウズベキスタン戦では6人も先発メンバーを変更した。

決勝トーナメント初戦のヨルダン戦では8人、準決勝のオーストラリア戦でも5人を入れ替えたキム監督。サウジアラビアとの決勝では3人のみの先発メンバー入れ替えと比較的少なかったが、それまで左サイドバックでの出場が主だったキム・ジンヤをサイドハーフで起用するという変則的な布陣を用いて、相手の裏をかいた。

キム監督は昨年11月のドバイカップでも、公平に出場機会を与えた。そして12月の招集トレーニングを経て、東京五輪出場がかかった今大会に備えた。

代表の中心になりえたイ・ガンイン(バレンシア)やペク・スンホ(ダルムシュタット)の招集には失敗した。だが、一連の過程を通じて個々人の長所と短所を完璧に把握し、今大会で戦う相手に合わせた戦術を敷いた。

(写真提供=韓国サッカー協会)オ・セフン

特に、グループステージ3試合から決勝トーナメント準々決勝まで、最前線で代わる代わる起用されたチョ・ギュソンとオ・セフンはともに2ゴールずつ決め、キム監督のローテーション策の信頼度を高めた。

次々と的中したキム監督の交代策

緻密な分析と計画によって編み出されたローテーション策は、ピンチの瞬間でもキム監督の采配をより際立たせる足掛かりとなった。

韓国の前に訪れたピンチの度に、キム監督の采配が嘘のように的中した。

思うように相手のゴールを割れずにいた中国戦では、キム監督は後半にキム・ジンギュとイ・ドンジュンを送り出した。すると、後半ロスタイムにキム・ジンギュのパスからイ・ドンジュンが決勝弾を挙げ、チームを初戦勝利に導いた。

どんな大会であろうと、初戦が一番難しいのは同じだ。中国戦でも苦戦を強いられたが、キム監督の采配1つで勝ち点1が3へと変化した。

グループステージ最終戦のウズベキスタン戦でも、1-1で迎えた後半26分に途中出場のイ・ドンギョンがオ・セフンの決勝ゴールをアシストした。結果、参加国唯一の全勝でグループステージを突破することができた。

(写真提供=韓国サッカー協会)イ・ドンギョン

決勝トーナメント準々決勝のヨルダン戦でも、韓国を勝利に導いたのは交代選手だ。ハーフタイムに途中交代で出場したイ・ドンギョンは、1-1の接戦で試合時間残り約30秒となった後半ロスタイムに、フリーキックから左足一閃で劇的なゴールを決めた。

イ・ドンギョンは準決勝のオーストラリア戦でも後半19分に途中出場すると、その12分後に相手を突き放す2点目を挙げ、2-0の勝利に貢献した。

優勝トロフィーをかけて戦ったサウジアラビアとの決勝でも、キム監督の采配は揺るがなかった。両チーム無得点で折り返した後半、キム監督はイ・ドンジュンにはじまりイ・ドンギョンやキム・デウォンを次々と送り出して勝負に出た。

試合は延長戦に突入したが、ここで途中出場の選手が役割を果たす。延長後半7分、キム・デウォンがペナルティエリア外左側でファウルを得ると、キッカーのイ・ドンギョンがフリーキックからチョン・テウクの劇的ヘディングゴールを演出した。

プロチームの監督時代から、選手を見る眼だけは卓越していたと評価されていたキム監督。今大会では、より一層鋭さを増した戦術眼と勝負師らしい貫録で、チームに栄光をもたらした。

来る7月に開幕する東京五輪の本戦でも、U-23韓国代表の活躍を期待できる確かな道筋が見えた。

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