不正行為による懲戒処分から復帰した韓国女子ゴルファー、ユン・イナ(20)が注目の“初戦”を終えた。
ユン・イナは4月4日から7日にかけて、済州道(チェジュド)西帰浦(ソグィポ)市のテディ・バレー・ゴルフ&リゾートで行われた韓国女子ツアー国内開幕戦「斗山建設We'veチャンピオンシップ」で通算2アンダーの「286」を記録し、34位タイで大会を終えた。
ユン・イナにとって、今大会は2022年7月の「HOBANソウル新聞ウィメンズクラシック」以来、約2年ぶりとなる韓国女子ツアー復帰戦だった。この期間、彼女は韓国女子ゴルフ界から姿を消していた。
というのも、ユン・イナはとある大会で不正行為を犯しながら、それを1カ月近く申告しなかったからだ。
ユン・イナは2022年6月に行われた「DBグループ・第36回韓国女子オープン・ゴルフ選手権大会」で、第1ラウンド中に“誤球プレー”を犯すルール違反をした。
当時、彼女は自身のティーショットで右にそれた球をラフで発見したと判断し、そのままプレーを続行した。ところが、実際には自身がマークした球ではなく、まったく別の球でプレーを続けていたのだ。
しかも、ユン・イナは自身が誤球をした事実を知っていながら直ちに申告せず、大会終了から約1カ月が過ぎた7月になって「韓国女子オープン」を主催したKGAに誤球を申告。
結局、ユン・イナはKGAよりKGA主催大会への3年間の出場停止処分、さらにはKLPGAよりKLPGA主管・主催の全大会への3年間の出場停止処分が下された。
ただ、今年1月に出場停止期間が3年から「1年6カ月」に減免されたことで、2024年シーズンからの大会出場が可能となっていた。
ユン・イナは復帰戦となった今大会第1ラウンドの公式記者会見で、涙を流しながら「申し訳ない。再びフィールドに立つことができるということに感謝している。正直な選手、信頼できる選手に生まれ変わる」と重ねて強調した彼女は、大会通して同様の発言を繰り返していた。
第1ラウンドの1番ティーイング・グラウンドで、ギャラリーに向かって頭を下げて謝罪の意思を示したユン・イナは最終日まで同様の行動を繰り返した。
「ファンのおかげで(懲戒が減免されて)フィールドに戻ってきたのだから、当然感謝しなければならない。傷ついた同僚たちにも、言葉と行動で謝罪の意を伝えるのが道理」と伝えた。
試合内容を振り返るときと違い、ファンや同僚に対する話をする際は明らかに萎縮した様子だった。
復帰過程と試合関連はもちろん、公式記者会見の内容が数多くのメディアを通じて報じられたにもかかわらず、「怖くて見られなかった」と話すほど、依然として“形のない監獄”に閉じ込められている印象も見受けられた。
一瞬の選択が“一生の汚点”として刻印され、消えない傷として残っている様子が、ユン・イナの目つきや行動、言葉遣いにそのまま表れた。是非を問わず、深く暗い洞窟に閉じ込められた期間が短くなかったということを傍証したわけだ。
一度過ちを犯した人物が再び大衆の前に立つこと自体、その人にとっては恐ろしい行動でしかないが、とにかくユン・イナは第一歩を踏み出した。表舞台に姿を現したのだから、やり過ぎだと思われるほどに謝罪をし、復帰を望んだファンに実力で報いる道しかない。
毎回のラウンド最初のティーショット前、ギャラリーに向かって頭を下げる行為について、ユン・イナは「足りないが、シーズンの最後まで努力しなければならない。謝罪の気持ちを伝えるためには、シーズン最後までやり通すことが当然だ」と話した。
また、「ゴルフの発展に貢献する選手になる」という発言の通り、今大会で受け取った賞金835万5000ウォン(日本円=約83万5500円)を財団法人Nine Valuesに全額寄付した。
ユン・イナは「実際に4日間歩いてプレーしてみると、体力が落ちていることが感じられた。試合感覚も重要だが、試合の体力を引き上げることが必要だと思った」とコメント。
続けて「よく寝て、よく食べてこそ体力をつけることができる」とし、「感謝の気持ちを込めて、出場できる多くの大会に出場し、同僚選手とファンに謝罪するためにもっと努力しなければならない」と意志を表わした。
非難の声がすべて消えることはないが、実力で価値を証明し、善良な影響力を行使するために死力を尽くせば、自分に対する信頼を少しずつ築くことができる。
先が見えない洞窟に閉じ込められているより、光のあるところで黙々と歩いていく方がはるかに希望的だ。
なお、ユン・イナは来る4月11日から14日にかけて開催される「メディヒール・韓国日報チャンピオンシップ」に出場する予定だ。
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