諦めを知らない日本の本塁打王、筒香嘉智(32)は再起を果たすことができるだろうか。
サンフランシスコ・ジャイアンツのキャンプに招待選手として参加中の筒香は2月25日(日本時間)、米アリゾナ州のスコッツデール・スタジアムで行われたシカゴ・カブスとのオープン戦で途中出場し、2打数1安打2打点を記録した。
筒香は6回表から登場し、一塁の守備に就いた。7回裏二死一塁で回った初打席は一ゴロで退いたが、9回裏二死二、三塁のチャンスで迎えた第2打席では2点適時打を放った。
試合は4-8で敗れたものの、筒香は招待選手ながらジャイアンツのオープン戦初打点を記録した選手となった。
筒香は“不屈の男”だ。
かつては日本プロ野球を代表する巨砲として、侍ジャパンの4番を担ったこともある。
2010年に横浜DeNAベイスターズでプロ入りした後、2019年までの通算10シーズンで968試合出場、打率0.285、205本塁打、613打点、OPS(出塁率+長打率)0.910の活躍を披露した。2016年には44本塁打でセ・リーグ本塁打王に輝いたこともある。
侍ジャパンとしては2015年プレミア12と2017年WBCに出場し、当時からMLBの関心を集めていた。そして、2019年に打率0.272、29本塁打、79打点、OPS 0.899の成績を残した筒香は、シーズン終了後にMLB挑戦を宣言して2020年にタンパベイ・レイズと2年契約を締結した。
新型コロナウイルス感染症の影響で開幕が遅れた2020年7月25日のトロント・ブルージェイズ戦では、相手先発のリュ・ヒョンジン(36)から2ラン本塁打を放つなど、シーズン序盤から大きなインパクトを残した。
しかし、以降は不振のトンネルから抜け出せなくなった。
2020年のレイズ1年目は打率0.197と正確さで問題を見せた。8本塁打、24打点、OPS 0.708と生産力は悪くなかったが、打撃の正確性で改善ができなかった。
結局、2年目の2021年も打率0.168、0本塁打、5打点、OPS 0.462と不振な成績が続き、同年5月に放出となった。
その後はロサンゼルス・ドジャースにウェーバークレームで移籍したが、負傷の影響もあって12試合出場の打率0.120に終わり、再び放出。2021年8月に加入したピッツバーグ・パイレーツでは32試合で打率0.268、8本塁打、25打点、OPS 0.883の活躍で1年400万ドルの再契約を結んだが、2年目の2022年は打率0.177、2本塁打、19本塁打、OPS 0.478と振るわず、同年8月に放出された。
結局、2022年はブルージェイズ傘下でシーズンを終え、2023年にはテキサス・レンジャーズとマイナー契約。傘下トリプルAで打率0.249、6本塁打、33打点、OPS 0.812と優れた活躍を見せたがコールアップはなく、6月にオプトアウト権行使で退団した。
昨年はアメリカ国内の独立リーグでプレーし、同年8月にジャイアンツとマイナー契約。現在はメジャー再進出に向けて日々鍛錬を続けている。
日本の本塁打王だった筒香は、何度も自尊心を傷つけられ、4度の放出を味わった。それでも、メジャーに対する未練を捨てることはできなかった。諦めることを知らず、絶えず挑戦し続けている。
一時は日本復帰説も浮上したが、筒香の選択は常にMLBにあった。
そんな筒香は、レイズ時代のチェ・ジマン(32、現ニューヨーク・メッツ傘下マイナー)に続いて、新たな韓国人同僚イ・ジョンフ(25)と出会うことになった。
イ・ジョンフは「筒香選手が“アンニョンハセヨ”を知っていた。ジマンさんとタンパベイ・レイズ時代に一緒だったこともあってか、“アンニョンハセヨ”は上手だった」とし、「同じ東洋人選手として同質感を感じている」と伝えた。
筒香は「自分の立場としては結果を出さなければならない。それがすべてだという考えでやっている」とし、「良い技術を作るためには、良い体と心が必要。アメリカに着て5年だが、コンディションは一番良い」と意気込みを語っていた。
不屈の意志で挑むMLB再挑戦。はたしてイ・ジョンフとともにジャイアンツのユニホームを着てグラウンドに立つ姿は見られるのか、筒香の“自尊心回復”のための初関門を越える戦いはすでに始まっている。
(記事提供=OSEN)
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