中東勢の“密集守備”を攻略するカギは両サイドが握っている。
サッカー韓国代表率いるユルゲン・クリンスマン監督は、就任から現在まで一貫して攻撃陣に“自由”を与えてきた。
キャプテンのFWソン・フンミン(31、トッテナム)をはじめ、FWファン・ヒチャン(27、ウォルヴァーハンプトン)、MFイ・ガンイン(22、パリ・サンジェルマン)など主軸を成す欧州組の個人技と瞬間的な選択を最大限尊重するという、いわゆる“自律”を選手に求めている。
この“自律サッカー”は就任初期こそ多少のズレもあったが、今では直近の国際Aマッチ6連勝を記録できた最大の秘訣となった。
ただし、アジアカップという重要な大会で、彼らの個人能力に依存しなければならないというリスクも存在している。
現代表の攻撃陣は、近年でも見られなかった最強の組み合わせといえる。しかしアジアをの舞台を戦ううえで、特に中東勢の“密集守備”を破るのは常に大変なことだ。
得点が決まらなければ焦りが生じ、これによって連携に細かなズレを引き起こす。
去る6日に行われたイラクとの強化試合でも、クリンスマン監督は後半にソン・フンミンやイ・ガンインなどの主力をすべて投入し、波状攻撃を繰り広げたが、得点は生まれなかった。
結局、前半にMFイ・ジェソン(31、マインツ)が決めたゴールが決勝点となり、1-0の辛勝で終了。韓国が一方的にイラクを攻め立てていた点を考慮すれば、惜しい結果と言える。
アジアカップでは対戦相手のほとんどがDFラインを低くする可能性が高い。韓国相手に徹底したカウンター戦術を用いないのは、日本やオーストラリア、イランなど限られた強豪国に過ぎない。ほかの相手は、DFラインを完全に下げた“密集守備”を展開するしかない。
そんな“密集守備”を破壊する方法は、素早い左右の切り替えとサイドからの正確なクロスだ。これによってDFラインに亀裂を生み出し、得点チャンスを創出することができる。
結局のところ、両サイドバックの積極的な攻撃参加とFW陣との連係が求められるというわけだ。
クリンスマン監督体制のサイドバック陣では、左は元清水エスパルスのDFイ・キジェ(32、水原三星ブルーウィングス)、右はDFソル・ヨンウ(25、蔚山HD FC)が事実上の主力となっている。
そして、控えとして左には元アルビレックス新潟のDFキム・ジンス(31、全北現代モータース)、右にはDFキム・テファン(34、蔚山HD FC)が構えている。
サイドアタッカーとしての起用が濃厚なファン・ヒチャンとイ・ガンインは、イラク戦のように相手の厳しいけん制に悩むしかない。
そのようなときに必要なのが、イ・キジェとソル・ヨンウの果敢でチャレンジングな攻撃参加だ。
イ・キジェはイラク戦で、自身の持ち味である左足の正確なキックを活かし、攻撃陣への効果的なパスを何度も披露した。守備面では物足りなさこそあるが、フリーキッカーも担えるイ・キジェの鋭い左足は韓国にとって一つの攻撃オプションとなり得る。
ソル・ヨンウは爆発的なスピードというより、味方との連係や果敢な突破が強みだ。代表では守備に重きを置いているが、アジアカップでは果敢な攻め上がりが求められる。
そして、ゴール前でサイドバック陣と息を合わせるFWチョ・ギュソン(25、ミッティラン)は、188cmの長身を生かした空中戦の強さはもちろん、DFラインを崩す瞬間的な動きも優れている。
イ・ガンインやファン・ヒチャン、ソン・フンミンなど特定の攻撃陣に依存しないためにも、両サイドのサポートが切実に求められている。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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