史上最大級の契約に史上最大級の“後払い”だ。契約を締結した時点から後払いの話はあったが、これほど比重が大きいとはだれも予想していなかった。
結論から言えば、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(29)が2024年シーズンに受け取る年俸額はわずかに200万ドル。
2022年シーズンに韓国プロ野球KBOリーグで活躍したドリュー・ルチンスキー(34)と同じ年俸額だ。
簡単には理解できない金額だ。大谷は12月10日、ドジャースと10年7億ドルの契約を結んだ。年平均は7000万ドルで、アメリカのスポーツ史上最高額を記録した。
ところが、契約発表当時に“後払い”条項が含まれたと伝えられ、12日にその契約の実態が明らかになった。
『ESPN』をはじめ現地メディアによると、ドジャースと大谷は7億ドルの内6億8000万ドルを後払いとする契約を結んだという。
つまり、大谷はドジャースの選手としてプレーする10年間に「2000万ドル」しか受け取ることができない。
そして、2034年以降から10年間で残りの6億8000万ドルを受け取ることになる。
2024年から2033年まで10年間の年俸は200万ドル。年俸額だけ見れば、2023年に大谷がロサンゼルス・エンゼルスから受け取った年俸3000万ドルの10分の1にも満たない。
言葉にならない契約構造だが、望んだのは大谷の方だった。これまでもそうだったように、お金よりも自分の夢と勝利を優先した。
振り返れば、大谷が初めてメジャーリーグに進出した2018年も、彼は普通の選手とは異なる視線で最高の舞台を眺めていた。
彼はメジャー最低年俸を甘んじて受け入れ、太平洋を渡った。規定上、満25歳以降に渡米してこそ最低年俸から抜け出すことができるが、金が重要ではないことを強調した。
満23歳を控えた2017年冬にエンゼルスと契約した大谷は、2018年に年俸54万5000ドル、2019年に年俸65万ドルを受け取った。メジャーの最低年俸に準ずる金額だ。
満25歳以降から年俸が大幅に上昇したが、もし金額を重視していたのであれば、大谷は満25歳となる2020年に合わせてメジャーに向かったはずだ。
ただ、大谷は一日でも早く最高の舞台に立つことに重点を置いた。幼い頃から大事にしていた夢を実現することを重要視した。
今回の後払いの比重を見てもそうだ。
大谷はドジャースの事情を考慮し、自身の年俸負担を最大限減らした。
もちろん規定上、後払いの金額がそのままチーム年俸に計上されるわけではない。今後10年間で4億6000万ドルがチーム年俸に含まれる。
それでも、ドジャースの立場では大谷獲得と同じぐらいに心強い支援だ。2024年のチーム年俸には7000万ドルではなく4600万ドルが追加されるという。トップクラスのFA選手をもう一人獲得する余裕が生まれた。
今回のストーブリーグで大谷に次ぐ注目株として挙げられるFAは、日本が誇るエース投手・山本由伸(25)とサンディエゴ・パドレスで活躍した左腕投手ブレイク・スネル(31)だ。
先発陣を満たさなければならないドジャースは、真っ先に大谷による年俸負担を大幅に減らした。これにより、山本あるいはスネルの獲得競争に積極的に参戦できる。
大谷の獲得は、ドジャースの大々的な補強計画の終わりではなかった。むしろ新たな始まりだった。
2025年には大谷も肘のリハビリを終えることにより、先発陣に合流する。現有戦力であれば、ドジャースが今後数年間の優勝候補最有力に入ることは間違いないだろう。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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