日本人選手も在籍する韓国Kリーグ王者の所属選手が、人種差別的発言をして物議を醸している。
昨年度Kリーグ1(1部)王者の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)は6月10日、ホームの蔚山文殊サッカー競技場で行われた済州(チェジュ)ユナイテッドとのKリーグ1第18節を5-1で勝利した。
済州戦では、昨季まで浦和レッズに在籍した元日本代表MF江坂任(31)が待望の今季初ゴールを決めるなどしていたが、物議を醸したのは試合後のことだった。
この試合で先発出場した元アルビレックス新潟のDFイ・ミョンジェ(29)が試合後に行った投稿に対し、蔚山のチームメイトがコメントを残していたのだが、ここで問題が発生した。
というのも、数人の選手がイ・ミョンジェの外見を東南アジア人になぞらえていたからだ。
さらには、かつて2021年にライバルの全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースに所属したタイ代表DFササラック・ハイプラコーン(27、ブリーラム・ユナイテッド)の実名まで言及するコメントもあった。例え仲間同士で交わした冗談であっても、人種差別的発言であることは明らかだ。
イ・ミョンジェの投稿に対し、MFイ・ギュソン(29)は「東南アジア枠心強いね」、MFパク・ヨンウ(29)は「ササラック、フォーム半端ないね」とコメントし、イ・ミョンジェをササラックに比喩していた。
また、蔚山のチームマネージャーもコメントに「ササラック」を用いた。ほかでは、元サガン鳥栖、鹿島アントラーズのDFチョン・スンヒョン(29)のコメントに対し、イ・ミョンジェが「お前のせいだよ、アジア枠」と返したりもしていた。
チームメイトたちは、比較的肌が黒いイ・ミョンジェを東南アジアの選手に例えてからかったものとみられる。なお、今回の騒動を起こしたイ・ミョンジェ、イ・ギュソン、パク・ヨンウは蔚山の副キャプテンであり、チョン・スンヒョンはキャプテンを務めている。
この投稿を見たサッカーファンたちは直ちに人種差別的発言だと指摘し、問題を提起。イ・ミョンジェのSNSに謝罪を要求するコメントを殺到させた。とあるタイのファンも、「すべての言葉とすべての行動のは代価が伴う」と指摘した。
騒動が広がると、イ・ミョンジェは該当する投稿を削除し、パク・ヨンウは本日(12日)午前に謝罪文を掲載した。
パク・ヨンウは「昨夜、SNSでチームメイトのプレースタイル、外見を例えて話した私の軽率な言動によって傷ついたササラック選手、そしてすべてのファン、周囲のすべての方に謝罪いたします」と伝えた。
そして、「選手の特徴を別称で呼ぶという正しくない言動で起きたこのことに対して反省し、再発しないよう、今後より言動に慎重を期してまいります」と付け加えた。
最後に、「決して人種差別や卑下を意図して吐き捨てた言葉ではありませんでしたが、私の不適切な言動によって傷つき、不快感を感じた方々に改めて心からの謝罪の言葉を伝えます」と再び頭を下げた。しかし現在、「決して人種差別や卑下を意図して吐き捨てた言葉ではありませんでしたが」という箇所に関しては削除された状態となっている。
今回の騒動は10試合以上の出場停止処分を受けかねない深刻な事案だ。
韓国プロサッカー連盟は「Kリーグ倫理綱領」を通じて、「Kリーグのすべての構成員は、人種、肌色、民族、国籍、社会性別、言語、政治的意見やその他の意見、財産、出生、またはその他の地位、性的指向などの原因を理由に軽蔑的であったり、名誉を傷つけたりする言動をしてはならず、他人の尊厳性を侵害してはならない」と明示している。
これに違反した場合、クラブには2000万ウォン(日本円=約200万円)以上の制裁金が科されるほか、選手には10試合以上の出場停止、1000万ウォン(約100万円)以上の制裁金などが科される。
特に、6月の国際Aマッチで自身初の韓国代表入りを果たしたパク・ヨンウは、代表招集を目前に控えて議論の中心に立つことになった。
ササラックが所属していた全北は公式SNSを通じて人種差別反対のメッセージを表明。「NO ROOM FOR RACISM」という文言とともに、「全北現代モータースFCは人種差別に反対します」と伝えた。
また、蔚山も12日正午に謝罪文を発表。「今回の選手団の不適切な言動について、被害当事者と関係者、そしてファンの皆様に頭を下げてお詫びいたします」とし、今後すぐに事態の把握と賞罰委員会を開催した後、所属選手全員を対象にした教育など、再発防止対策を講じることを伝えていた。
(記事提供=OSEN)
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