野球の実力と同じぐらいに優れた人間性で有名な大谷翔平(28、ロサンゼルス・エンゼルス)が、審判へのアピールの間にもマナーを忘れなかった。
大谷は4月6日、敵地T-モバイル・パークで行われたシアトル・マリナーズ戦で先発登板し、6回111球を投げて3被安打、4四球、2死球、8奪三振、1失点で2023年シーズン初勝利を記録した。チームも4-3で勝利を収めた。
試合序盤こそ制球乱調に苦しんだが、6回まで持ちこたえ111球を投げ切った。打席でも7回の適時打含む2打数1安打、1打点、2四球で3出塁を記録し、エンゼルスの勝利に貢献した。
今回の試合では、“二刀流”大谷にしかありえない場面も見られた。1回に投手として、6回に打者としてピッチクロック違反を言い渡され、それぞれ自動的にボールとストライクが宣告されたのだ。
今季から試合時間短縮のためメジャーリーグに導入されたピッチクロックだが、投打ともに違反した選手は大谷が初めてだ。
投手としてのピッチクロック違反は、遅すぎて問題になったほかの投手と異なり、速すぎたがゆえに問題になったと見られる。当時、一死二塁で大谷はセットポジションからすぐに投球動作に入ろうとし、球審から違反を知らされた。
これに戸惑った大谷は、同回を終えた直後、ダッグアウトにいた水原一平通訳を呼んだ。そして、攻守交替の時間に球審と話し合いを行った。
そんななか、大谷はマナーを忘れなかった。話し合いの途中、誰かが呼ぶ声を聞いた大谷は、球審が腰につけたボールポケットから球を一つ取り出し、相手投手クリス・フレクセン(28)に渡したのだ。
攻守交代の際、フレクセンは投球練習のため球が必要だった。それを大谷が素早く察知し、球審のボールポケットに手を突っ込み、球を取り出したようだ。直後、しばらく照れくさそうな笑みを浮かべていた大谷だが、再び真剣な表情でアピールを続けていた。
今回のエンゼルス対マリナーズを中継した『バリー・スポーツ・ウエスト』解説者のマーク・グビザ氏は、「大谷はフレクセンがウォーミングアップのために出てきたことを知り、球を渡した。大谷が(アピールも、球を渡すことも)すべてやった。ジェントルマンだ」と言って笑っていた。
(記事提供=OSEN)
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