2019年、韓国では『ストーブリーグ』というドラマが放映された。
本作は20%に近い視聴率を記録した大ヒットドラマで、韓国プロ野球関係者たちが制作に参加したことでリアリティを高めたという。もちろん、ファンからの支持もたくさん受けた。
そして今回、笑い話のような言葉が実際に出た。「本当に韓国球界で起きたことなの?」と…。
シーズン開幕を控えた3月末、現役のGMが選手との交渉過程で“裏金”を要求したという申告が受け付けられたのだ。
一方は「冗談交じりだった」とし、もう一方は「一度は冗談だが、二度はない。絶対にそうは思わない」と刃を立てた。とはいえ、すでに球団はGMの解任を決定している。
韓国野球はすでに、瀕死の状態だ。2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)での1次ラウンド敗退という惨事に続き、ある球団の有望株が未成年者関連の性犯罪容疑で放出された。
そして数日も経たないうちに、フロントのトップであるGMが解任される事態まで起きた。
ある野球ファンは「ここまで立て続けに起こることなのか」とため息をついたという。特に、GMが選手と交渉をしながら裏金を要求したという事実自体が衝撃だと話す。「お金もたくさん稼いだ人がなぜそんなことを…」と思わざるを得ない。
前出の『ストーブリーグ』で類似のエピソードがあった。それは、スカウトチーム長が新人ドラフトを控え、「指名するから金をくれ」という場面だ。
その選手は言われるがままにお金を渡したのだが、結局、そのチームから指名を受けることはできなかった。その後、他のチームに入り、そのチームで新人王になったのだ。
時間が経ち、スカウトチーム長の不正行為を調査する過程で、その選手が“良心宣言”をした。問題のチーム長が所属していた球団のGMは、「お金のやり取りを知らなかった私たちも間違っていたし、お金を渡した選手も間違っていた。でも、お金を受け取った人が一番悪かった」と話した。
続いて「牛を失った。しかし、これからは牛舎を直さなければならない。牛を一度失ったのに、どうして直さないのか。直さないと二度と牛を飼えない」と強調したのだった。
今回、実際に起きた事件も同様だ。事実かどうかは別として、事はすでに起こっている。裏金を提案された選手は苦心の末に通報し、球団はGMの解任を決めた。「どうすれば良い試合を見せ、良い成績を出せるか」を、皆が一つになって悩まなければならないのに、このようなことが起こっては呆れるしかない。
韓国球界では今、例のない事件・事故が相次いで発生している。ドラマのセリフを引用すると、一頭の牛どころか、多数失ったようだ。しかも開幕間近の状況で。
謝ることは謝らなければならない。しかし、本当に必要なことは“再発防止”だ。リーグを構成する全員が自覚し、頑丈な牛小屋を建て直す時がきた。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
Copyright @ 2018 Sportsseoul JAPAN All rights reserved.
前へ
次へ