ある専門家は「100マイルの投手がいない」と嘆き、投手の球速低下を指摘した。また別の専門家は「ストライクを投げられない」と、制球を問題視した。
2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が閉幕して数日経つが、1次ラウンド敗退に終わった韓国ではプロ野球KBOリーグ開幕が目前に迫る現在も、代表を巡って議論が繰り広げられている。
もっとも、そこで話されている内容はすべて昔から言及されてきた“難題”だ。
ではどうすれば解決するのだろうか。結論から言うと、高校野球の打者が金属バットを使わなければならない。「アマチュアでは木製バットではなく金属バットのみ使用すべき」と定めてこそ、投手の問題まで解決できるはずだ。
韓国の高校野球では、投手たちは140km中盤~後半の球さえ投げられれば木製バットに勝てる。そうなれば、コントロールもあまり気にする必要もない。その程度の球威で十分に耐えられるからだ。
だが、いざプロ入りすると問題が発生する。「失敗は成功のもと」とよく言うが、打者に苦しみ、それを克服する過程を経ていない投手がプロに適応することは難しい。
アマチュアの時点でその過程が省略されたままプロ入りしてしまえば、投手は乱打を浴びるしかない。前もって経験すべき試行錯誤を学生ではなくプロに入ってようやく経験するということは、選手と球団の両方にとって“損”と言えるだろう。
仮に韓国でも高校球児がアメリカや日本のように金属製バットを使っていれば、今ごろ違った未来が待っていたはずだ。投手たちは学生時代から、打者に勝つために球速と制球の両方を引き上げるための努力をしたに違いない。
金属バットが相手となれば、投手は例え150km台の速球を投げても強く打ち返される。制球ができなければたちまち猛打を浴びるはずだ。韓国より先進的な野球をする日米で、アマチュアの選手たちが金属バットを使うのにはすべて理由がある。
ただ、我々にはまだ勘違いしていることが一つある。
それは冒頭で言及した話題になるが、球速と制球は“別物”ではない。2つのうちどちらを優先すべきかを問い詰めることは時代遅れであり、今さらテーマにするべきでもない。
理由がある。現代は制球ができて剛速球を投げられることが当然の目標点だ。速球の最低ラインが10年前は90マイル(約144km)だったとすれば、今は100マイル(約160km)を投げる投手が次々と登場している。もちろん、制球も持ち合わせている。
WBCで目の当たりにしたように、韓国と同じアジアの日本人投手たちは、160kmの速球を投げながらも抜群の制球を見せた。我々が遅れていることもあるが、これは世界的な流れなのだ。
打者も変わった。誰もが強く、正確に打つ。侍ジャパンが1~2番の打者からフルスイングする姿に大きく驚かされた。「日本がスモールボールをする」という考え方は過去のものだ。
現代野球のメインストリームは“ビッグボール”だ。日本はすでにこの潮流を捉えており、韓国は遅れを取っている。認めなければならない事実だ。
しかし、その失敗の責任は当事者である選手たちにあるわけではない。目の前の結果だけを見てシステムを急造する協会や、「スイカの皮舐め(“物事の表面だけを見てことを行うこと”を意味する韓国のことわざ)」式に対策を作る球界関係者の失敗だ。
選手たちは失敗と試行錯誤を重ねて成長しなければならない。しかし、先頭に立って構造を作るべき協会と首脳陣が、「これでもない、あれでもない」といった状況を繰り返し、混乱だけを加重させている。
失敗を最小限に抑えなければならない彼らが試行錯誤を繰り返すことで、韓国野球は足踏み状態を続けている。指導者を支えるシステムが不十分なのも同じだ。
一部では「金属バットの反発力が問題だ」という意見もあるが、であればバットの規定を設けて施行する日米の事例を参考にすれば良い。彼らは長い間、複数のテストを重ねて基準を作ってきた。
我々は2023年WBCを見て韓国野球の実情を目にした。これも一つの過程であるが、解決できないことはない。些細なことからクリアしていかなければならない。そのためにも、アマチュア野球への金属バット導入が第一歩となり得ると言えるだろう。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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