過熱する入試競争で基礎体力低下…韓国スポーツの問題の根源は“学校体育”にあり

2019年10月17日 スポーツ一般

韓国スポーツの根幹は学校体育にある。

近年では学校体育の問題点を改善すべく、大会の平日開催廃止や少年スポーツ大会の改編、合宿所の閉鎖などについて議論が繰り広げられている。

だが、上記の議論は現場の意見を十分に反映せず、エリートスポーツだけに注力しているため、システムそのものの変化や改革が全体に及ばないとの評価がされている。韓国国内におけるスポーツの構造を根本的に変えていくには、根幹の学校体育に対する認識を改めることが求められている。

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学校体育は施設や環境、教育システムなど、さまざまな問題が複雑に混ざり合っている。それだけに、問題点が露わとなっている学校運動部の改善を通じ、学校体育全般の変化を図ることは難しいだろう。学校体育のパラダイムそのものを転換させることで、韓国のスポーツが今後さらに発展し成長できる土台を設けなければならない。

韓国の青少年は肥満率が毎年増加しており、基礎体力も不足している。20代前半の男性を対象に、30年前と比較すると体格(身長3%、体重15%増加)は大きくなったものの、体力(柔軟性38.9%、筋力15.9%減少)はとても弱まっている。

この数値を見ても、過度な入試競争によって後回しにされてきた体育授業の拡大と正常化を進めなければならない。幼・青少年期からスポーツを習慣化させ、健康的な生活を送るには、学校体育の活性化が必須だ。

(写真提供=韓国サッカー協会)中学生のサッカー大会

昨年、ソウル大学医学部健康社会政策研究室の発表によると、体育授業の推奨時間を満たしている高等学校は全体の25.8%のみだという。学校において体育授業が正常に行われないことで、社会的な費用が増えてしまっている。

学校体育を正常に運営させるには、制度的措置を設ける必要性も出ている。

学生たちには、学校内で心おきなく身体を動かせる時間が保証されなければならない。身体面だけではなく精神的、社会的価値を他人と共有できる体育の時間を、教師の意思によって他の科目に置き換えられないようにする懲戒案も検討すべきだろう。学生健康体力認証制度の導入により、体育活動活性化制度の入試反映への強化も考慮すべきだ。

学校体育には、政策的観点から長期的な変化を図れる法案が必要とされている。学校の体育活動強化は、学生のみならず社会全般にポジティブな効果を発揮できるからだ。

スポーツで得られる体力の増進やルール遵守の精神、幸せを追求する健康的な心によって、社会問題であるいじめや自殺などの解決にも手助けとなるだろう。

また、一般学生のスポーツへの参与が拡大すれば、選手不足問題にも解決を見出せる可能性がある。

韓国スポーツ界は陸上や水泳、体操といったオリンピックにおける韓国主要種目の底辺拡大や、マイナーな種目の選手不足が指摘されてきた。この2つを解決するには、幼・青少年たちにスポーツへの関心を持ってもらうほかない。生活スポーツを基盤とする学校体育の活性化が、各スポーツの競技人口拡大化にもつながるはずだ。

学校体育の活性化は、産業的な側面でも「バタフライ効果」を呼び起こせる。スポーツ先進国ですでに施行されている、体育授業を通じた“1人1スポーツ”義務選択制の導入が現実化されれば、現在約2000人の学校体育教師は28000人にまで増加する。

スポーツトトの収入金の活用などによって財源を確保できるのであれば、引退選手などスポーツ関連従事者の雇用問題解消にも貢献できると期待が集まる。

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