クリンスマンは2024年初頭、カタールで開かれるAFCアジアカップで検証されることとなる。2026年ワールドカップに向けて初の評価の場となるわけだが、アジアサッカーの経験が全くない彼がアジアカップでどれほど能力を発揮できるか疑問だ。
短期間で大きな大会を円滑に準備するためには、経験と情報、ノウハウなどが重要だが、クリンスマンは多くのリスクを抱えて航海しなければならない。指導者としての実力が優れていれば現場感覚を回復する時間を最小限に抑えることができるが、クリンスマンには常に疑問符がまとわりついている。
パウロ・ベント前監督も自身のキャリアが下落傾向だった状況で韓国代表にやって来たが、彼は長い間一緒に過ごした“師団”を持っていた指揮官だった。レベルの高いトレーニングプログラムや世界のトレンドに合わせた戦術の構築などは、欧州でプレーする選手の目線とかけ離れていない。
一方のクリンスマンは、戦術的な力が不足していることで有名だ。
モチベーターあるいはマネージャー型の指導者なので、選手の欲求を満たせるかどうかは未知数だ。能力のある新しいコーチチームと共に仕事をするとしても、彼らと関係を築くことがまず課題だ。
そのためか、マイケル・ミュラー韓国サッカー協会戦力強化委員長も、クリンスマンを選んだ理由を説明できなかった。
「人間的魅力と韓国に対する関心」という抽象的な根拠がクリンスマンを選んだ理由ならば、選任に対する問題意識を提起するほかはない。
もちろん、様々な懸念を克服し、クリンスマンが韓国で成功する可能性もないわけではない。ただ、その期待をはるかに上回る憂慮が蔓延しているといのが現状だ。
早くも就任が疑問視されているクリンスマンは、3月24日に蔚山文殊(ウルサンムンス)競技場で行われるコロンビア代表との国際Aマッチで、韓国代表監督デビューを果たす予定だ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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