クリンスマン監督は2016年、成績不振とリーダーシップの問題でアメリカ代表監督を辞任した。
その後、就職活動に苦労し、2019年にブンデスリーガのヘルタ・ベルリンの指揮官の座に就いたが、就任からたった77日後に辞任するという速攻を見せてくれた。それも自身のSNSで発表したことから、議論を呼んだことは言うまでもない。
このヘルタでのキャリアを除けば、クリンスマンが最後に代表監督として働いた時点から6年以上が経過している。ヘルタでの時間を含めても、3年間指導者として働いていない。文字通り「過去の人物」と言っても差し支えないわけだ。
昨年のカタールW杯でクリンスマンは、FIFAのテクニカルスタディーグループの一員として戦術分析を行い、世界のサッカーの潮流を確認したが、あくまで外部から見守っていたに過ぎない。
一つのチームに属して選手と息を合わせて組織を作っていくプロセスは、彼にとってあまりにも昔のことだ。時々刻々と変化する世界のサッカートレンドや、選手の性向などについていけるかどうかは疑問である。
しかもクリンスマンはアジアサッカーと縁がない。
FCソウルユース強化室長のチャ・ドゥリとは親密な関係として知られているが、これは個人的な関係だ。韓国サッカーの環境はもとより、アジアサッカーの流れや特性も知らないことから、すべてが初めての環境で適応という難しい課題を抱えて韓国代表にやってくる。
しかも、弱り目にたたり目なことに、彼の初評価の舞台までは1年も残っていない。