概してフロントの規模が小さいため、自身の専門性を発揮できる業務にだけ集中できず、ほかの業務も並行する必要がある。
また、サッカークラブのフロントとしての将来を描くとしても、そもそもクラブ内に“ロールモデル”となる人間が足りない。
特に地方自治体によって運営される地方クラブでは、選挙によって球団オーナーを担う市長や道知事が変わってしまえば、一部の天下り人事として定着した彼らがサッカークラブの要職を占め、既存の主力要員が追い出されてしまう。
そうなると、情熱を注いで業務に励んできた若い職員は士気が落ち、政策の連続性を描くことが難しくなる。突然新たにやってきた上司が志向する仕事だけを遂行し、毎回“新しい実務”だけをした挙句、最終的に疲弊してサッカークラブを離れてしまう。
かといって、企業クラブの職員もバラ色の未来だけを夢見ることはできない。
地方クラブよりは多少安定的な職責を遂行できるとはいえ、代表取締役やGMなど主要な実務責任職務は、親企業で働いていた役員やセレブのサッカー人が席を埋めるのが一般化している。
例えば今年初めには、浦項(ポハン)スティーラースの第8代目となる新GMにイ・ジョンハ氏が就任したことが話題となった。というのも、同氏は1996年に浦項に入社した後、選手団主務を皮切りに選手支援チーム長、広報マーケティングチーム長、有望株創造企画団長、戦力強化室長など、27年間実務を経験してきた人物だからだ。
最近、Kリーグの某クラブを退社したという30代のA氏は、「Kリーグがシステムや施設インフラでは先進リーグ水準に上がったのは事実だ。ただ、専門性を持った主要実務者を10~20年の長期的に育てる日本のJリーグなどと比較して、Kリーグは」と批判した。
それとともに、「職員が楽しく仕事をして成果を出せば、インセンティブを受け取り、より高い席で別の業務も経験しなければならないが、そのようなことがない。私が退社した決定的な理由は、先に入社した先輩が同じ考えをしていたからだ。“この先、自分が望むものはない”という気がした」と訴えた。
そして、また別のクラブでGMを務めるB氏は、こうした現象について「責任感を感じる。最も残念なのはフロントのポジションが弱まり、多様性を持つクラブが減っていることだ。政治的な波から避けられない地方クラブは、専門経営人制度の導入でフロントの新しい未来を切り開くことを考慮しなければならない。また、韓国プロサッカー連盟もテクニカルディレクターの義務導入(2026年)のようにすべてのクラブに一部制度を強制するよりは、クラブの条件に合わせた運営に関する自律性を与えてほしい。そうしてこそクラブも人材を効果的に迎え入れることができ、育成することができるだろう」と強調した。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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