しかし、今年は違った。初の年間表彰式開催で軌を一にした。普段のユニホームやスパイクではなく、きちんとした服を着て、靴を履いた選手たちが続々と会場に姿を現した。
会場に入る前には、出入り口付近でフォトタイムのイベントも開かれた。受賞者はもちろん、祝福に来た仲間たちもポーズに追われていた。
年間表彰式本番。一人ずつ受賞者の名前が読み上げられると、会場内には温かい拍手があふれた。この日は得点王やアシスト王のほか、各ポジション(FW、MF、DF、GK)の最優秀選手賞、最優秀監督賞、新人賞、今年を輝かせた指導者賞、審判賞、功労賞の11部門が表彰された。
表彰台に上がった選手たちの声は震えていた。日本のINAC神戸レオネッサ、イングランドのチェルシーFWウィメンなどで数多くの賞を受賞してきたMFチ・ソヨン(31、水原FCウィメン)でさえも緊張していた。
MF部門の最優秀選手賞を受賞したチ・ソヨンは、「こうした場で緊張するような性格ではないが、今日はとても緊張した」とし、「おそらく、多くの人が待ちわびてきた日でもあるし、1年間苦労したWKリーグの選手たちがやりがいを感じられる時間だったから、そうなったと思う」と伝えた。
FW部門の最優秀選手賞を受賞したFWチェ・ユリ(28、仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)も同様だった。今季にシーズン最多得点(10ゴール)を記録したチェ・ユリは、勢いの増した得点感覚で仁川現代製鉄を前人未到の10連覇に導いた。
「年間表彰式は初めてだったので、どんな雰囲気なのかわからなかった。壇上に上がったらとても緊張した」と笑顔を見せたチェ・ユリ。受賞者ではないがチームメイトの祝福に来たDFチャン・スルギ(28、仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)も、「実際、男子サッカーが羨ましかった。これまでは“自分たちだけのお祭り”という感じが強かったが、今はとても実感が湧いている」と語っていた。
なお、ほかでは得点王にFWムン・ミラ(30、水原FCウィメン)、アシスト王にコートジボワール人FWナヒ(33、慶州韓国水力電子力)、DF部門の最優秀選手賞にDFファン・ボラム(35、華川KSPO)、GK部門の最優秀選手賞にGKキム・ジョンミ(38、仁川現代製鉄レッドエンジェルズ)、新人賞にDFクォン・ヒソン(23、水原FCウィメン)、最優秀監督賞に仁川現代製鉄のキム・ウンスク監督、今年を輝かせた指導者賞にU-20韓国女子代表のファン・インソン監督、審判賞にキム・ユジョン、功労賞に元審判の故パク・ヨンファさんが選ばれた。
韓国で女子サッカー人気は日増しに高まっている。コリン・ベル監督率いる韓国女子代表は今年1月、女子アジアカップで史上最高成績の準優勝を収めた。来年7月にはオーストラリアとニュージーランドで開催される女子ワールドカップも控えている。
高まる国際競争力と同じぐらい、女子サッカーに対する関心も高まっている。現在、SBSで放送中の人気サッカーバラエティ番組『ゴールを蹴る彼女たち』(原題)もその人気に一役買っている。
まだまだ解決すべき課題は多いが未来は明るい。韓国女子サッカー界の“生きるレジェンド”ともいえるチ・ソヨンが、先頭に立って女子サッカーの改善点に声を挙げている。その代表的な例が、これまで16時キックオフが定番だったWKリーグの試合開始時間を19時キックオフに遅らせた点だ。
現在のWKリーグでは、仁川現代製鉄の10連覇に貢献した元なでしこジャパン(日本女子代表)のMF田中陽子(29)をはじめ、元なでしこMF田中明日菜(34、慶州韓国水力原子力)、MF田中萌(27、水原FCウィメン)、元なでしこFW木龍七瀬(33、昌寧WFC)、元なでしこFW安本紗和子(32、昌寧WFC)、MF櫻本尚子(32、世宗スポーツTOTO)、DF吉見夏稀(29、華川KSPO)など、日本人選手も多くプレーしている。
チ・ソヨンは「ファンとより一層コミュニケーションをし、WKリーグがさらに発展できるよう選手たちが力を合わせてほしい」と思いを伝えていた。記念すべき初の年間表彰式がWKリーグのさらなる発展につながることを願うばかりだ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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