韓国プロ野球KBOリーグでは平均的な守備能力だった。しかし、野球の最高峰である米メジャーリーグ(MLB)に進出以降、劇的な成長を果たし、今ではMLBトップクラスの守備職人と呼ばれるようになった。
サンディエゴ・パドレスでダルビッシュ有(35)とチームメイトの韓国人遊撃手、キム・ハソン(26)がその人だ。
パドレスのボブ・メルビン監督は去る8月6日、試合前のブリーフィングでキム・ハソンの守備に言及し、“ディフェンス・デプス”に何の心配も抱いていないことを強調した。
一体何がキム・ハソンの守備をトップレベルにまで引き上げたのか。その理由は、韓国時代の型にはまった守備を捨て、MLB式に適応したことにあるという。内に秘めていたポテンシャルがアメリカで爆発し、抜群の守備能力として発揮されるようになった。
去る7日、ドジャー・スタジアムで本紙『スポーツソウル』の取材に応じたキム・ハソンは、「小さいときから守備に自信があった。守備を常に頑張ろうと努力していたが、攻撃に重点を置いたため、オフェンスが浮き彫りになった」とし、「MLBに来てボールハンドリングの矯正をしたのだが、今まで自分が知っていた守備とはまったく違った。昨年は試合出場こそ多くなかったが、決して遊んでいたわけではない。自分が上手くできる部門が何であるかを突き止め、守備に多くの投資をした。ハンドリングを矯正したり、ステップを変えたりしたことで、守備が楽になった」と秘訣を明かした。守備時の動作を修正したことで、アップグレードに成功したという意味だ。
また、キム・ハソンは韓国国内の野球指導者に伝えたい言葉があるという。それは、目まぐるしく変化する守備の指導方式を積極的に確認し、耳を傾けてほしいという願いだ。
「冬に韓国で野球のボランティア活動をしながら、小学生の子どもたちを指導したのだが、彼らは僕が約10年前に指導を受けたときと同じやり方で野球をしていた。つまり、コーチや監督が3~40年前から同じステップを教え続けているということだ。皆立派なコーチであることは知っているが、時代は急速に変化している。打球や選手のスピードが速い」と、新たな基礎と技術の習得が必要であると進言した。
さらには「南米の選手たちは守備が上手い。彼らは幼い頃からボールを扱うハンドリングに優れている。僕が本格的に守備のやり方を変えて、新しく学び始めたのは、パドレスに入団した春季キャンプのときだ。不必要なステップをせず、ハンドリングを矯正したことで変わった。(マニー・)マチャドのように元々強肩を持つ選手に追いつくことは難しいが、ほかの部分ではアジア人選手も十分に戦うことができる。日本の野球も少し知っているが、方法が閉ざされている。選手を自由にプレーさせてこそ、創造的なプレーが生まれる」と、ステレオタイプの指導方法に苦言を呈した。ここでいう“ステレオタイプ”とは、「ボールは真ん中で取れ。スローイングはオーバーハンドにしろ」といったものが例に挙げられる。
そこで、キム・ハソンはバックハンドを例に挙げた。「バックハンドで守備をすれば生意気と言われる。僕も初めてパドレスのキャンプに来たとき、バックハンドで捕れるボールを正面で捕球しようとした。すると、コーチが“なぜバックハンドで捕らずに不必要なステップを踏むんだ”と指摘した。コーチが捕球時にどうやって捕るべきかを説明してくれたが、ほぼバックハンドで捕る。“腰さえ少し曲げればバックハンドで守れるのに、なぜいちいちステップを踏んで難しく捕球して、悪送球を犯すんだ”と簡単に解いてくれた。もう一つステップを踏んだら、次の段階で急いで悪送球が出てしまう」と、守備時の認識の転換を語った。
実際、韓国プロ野球の野手は捕球ミスよりも送球ミスが多く目立つ。キム・ハソンの指摘のように、不必要なステップが一つの原因だ。
キム・ハソンは「指導方法を確立するときが来た。選手が楽に適応できることは守備にとって何よりも重要だ」と強調した。
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