2022シーズンのKリーグ最高の補強は、蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)の元日本代表MF天野純(30)となりそうだ。
序盤戦を終えたKリーグ1(1部)で最も存在感が目立つ“新外国人選手”には、断然天野が挙げられる。
横浜F・マリノスからレンタル移籍で蔚山現代に加入した天野は、現在までリーグ戦10試合に出場して4ゴール1アシストを記録し、蔚山現代の首位独走をけん引している。
韓国初挑戦とは思えないほど、“適応”という言葉が感じられないほど、天野はあっという間に蔚山現代、さらにはKリーグの環境にフィットした。
日本人選手らしく、天野は卓越したテクニックや正確無比なパス、鋭いキック力を持ち合わせている。オン・ザ・ボールの状況はもちろん、オフ・ザ・ボールの状況でも圧巻の存在感で、最前線に2列目、サイドとピッチを自由に行き来しながら、蔚山現代の攻撃をリードする。
ジョージア代表MFヴァレリ・カザイシュヴィリ(29)や元韓国代表MFイ・チョンヨン(33)、ブラジル人FWレオナルド(24)、韓国代表FWオム・ウォンサン(23)など、チームメイトを活かしたプレーも良い。
身体のバランスにも優れ、Jリーグよりも比較的フィジカルコンタクトの激しいKリーグのDF相手にも賢く勝ち抜くプレースタイルだ。現時点までのKリーグ1において、最も華々しい活躍を見せる選手と言っても過言ではない。
天野のチームメイトであり、蔚山現代の新たなストライカーとなったレオナルドも、9試合5ゴールと期待以上の活躍を見せている。
昨季に“ストライカー不在”による決定力不足でリーグ優勝を逃した蔚山現代としては、レオナルドの活躍には笑うしかない。このままのペースであれば、二桁得点にも容易に達するものとみられる。
済州(チェジュ)ユナイテッドに新加入したスウェーデン人MFジョナタン・リング(30)も、あっという間にKリーグに定着した。リングは現在までリーグ戦10試合3ゴールを記録し、攻撃面で存在感を発揮している。
昨季得点王の韓国人FWチュ・ミンギュ(32)、ギニアビサウとポルトガルの二重国籍を持つFWジェルソ・フェルナンデス(31)、そしてリングという済州の攻撃陣は、多彩な攻撃パターンで相手守備陣を攻略する。
済州率いるナム・ギイル監督は、昨季からプレーするジェルソに続き、今季新加入のリングとも良い相性を見せ、「外国人選手の活かし方がよくない」という評価を払拭してみせた。
大邱(テグ)FCのブラジル人FWゼカ(25)も、周囲の懸念を破り驚異のハイペースで活躍を見せている。
前任のブラジル人FWエジガル(35)がアキレス腱断裂によるシーズン絶望で退団し、彼に代わる新ストライカーとして急遽補強されたゼカは、チームに合流して間もなく迎えたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で6試合6ゴールの活躍を披露し、大邱FCの決勝トーナメント進出に貢献した。
また、国内リーグ戦でもこれまで4試合2ゴールを記録している。190cmの長身を活かして空中戦で無類の強さを発揮するゼカは、エジガルの代替者としての役割を完璧に果たすものと期待されている。
中盤の選手では、天野のほかに水原(スウォン)FCのフィンランド代表MFウルホ・ニッシラ(26)が目立つ。
豊富な運動量を持ち味とするニッシラは、昨季まで在籍した元韓国代表MFイ・ヨンジェ(27、金泉尚武)とは異なるプレースタイルの持ち主だが、勤勉にピッチを駆け回り、攻守にわたって多大な貢献を見せる。
また、精巧なキックも持ち合わせ、コーナーキックやフリーキックの場面では得点に貢献することも多い。Kリーグでは珍しいフィンランド出身選手として、チーム内で存在感を高めている。
その反面、多くの期待を集めながら落第点に近いプレーを見せる選手もいる。
代表的な選手が、水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスに新加入したデンマーク人FWセバスティアン・グローニング(25)だ。
デンマークリーグ得点王という実績を引っさげ、堂々とKリーグの舞台に足を踏み入れたグローニングだが、これまでリーグ戦11試合に出場してたったの1ゴール、さらには1アシストも記録できずにいる。
得点がないだけではなく、パフォーマンス自体も印象的ではない。水原三星は決して少なくない投資でグローニングを迎え入れたが、今のところその成果はまったく出ていない。グローニングの不振に導かれるように、水原三星も12チーム中11位と低迷が続いている。
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