【韓国の視点】無敗の蔚山現代も餌食に。ACLで苦しんだ韓国勢への警告「東南アジアを甘く見るな」

2022年05月02日 サッカー #ACL #Kリーグ

4勝2分4敗、9ゴール11失点。

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これは、2022シーズンのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に出場した韓国勢4チーム(蔚山現代、全北現代モータース、大邱FC、全南ドラゴンズ)の東南アジア勢との対戦成績だ。

Kリーグが“東南アジアの襲撃”に振り回され、頭を下げることになった。対東南アジア勢で6勝2分の無敗を記録した日本勢とは対照的な結果だ。

“ACL強者”蔚山現代、まさかのグループ敗退

2012年、2020年と2度のACL優勝経験を誇る蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)は、ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)とのグループI最終節で1-2と敗れ、グループステージを3位で終了し決勝トーナメント進出に失敗した。

蔚山現代はグループ首位をかけて争うと予想されていた川崎フロンターレ(日本)相手に1勝1分と優位さを見せたが、ジョホールとは2度の対戦でいずれも1-2と衝撃の敗戦を喫した。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)ジョホールに敗れ肩を落とす蔚山現代の選手たち

同日には、2部チームながらカップ戦王者で出場した全南(チョンナム)ドラゴンズも、BGパトゥム・ユナイテッド(タイ)とのグループG最終節で接戦の末に0-0と引き分け、やはりグループ3位にとどまり、大会を去ることになった。

全南は一枚下と思われていたパトゥムやユナイテッド・シティ(フィリピン)ら東南アジア勢と同組に入り、ベスト16入りが有力視されていたが、第2節でのパトゥムとの初対戦で0-2と完敗を喫するなどし、動揺してしまった。

韓国勢で決勝トーナメント進出を果たした大邱(テグ)FC、全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースも、東南アジア勢には同じく苦戦を強いられた。

大邱FCはライオン・シティ・セーラーズ(シンガポール)との初対戦で0-3と衝撃の大敗を喫し、最終節での再戦で2-1と辛勝した。

全北現代(チョンブク・ヒョンデ)は大勝が期待されたはずのホアンアイン・ザライFC(ベトナム)相手に無気力な試合を繰り広げた末、1-0、1-1と1勝1分を記録した。

揺れるKリーグ、勢いに乗るJリーグ

当初、東地区グループステージが東南アジア諸国(タイ、マレーシア、ベトナム)で開催されることが発表された際、現地の高温多湿な気候が障害物として浮上した。

昨季もグループステージは東南アジアで集中開催されたが、当時は韓国国内も暑くなる6月だった。ただ、今季はリーグ戦が2月に開幕したこともあり、比較的肌寒い天気のなかでシーズン序盤を戦った後、気候の差が激しい東南アジアでACLを戦った。それも中2日の6連戦というハードな日程で、体力的な難しさが憂慮されるしかなかった。

しかし、隣国・日本のJリーグチームの戦いぶりを見れば、これらも言い訳にしか聞こえない。ACLに出場したJリーグの4チームは、東南アジア勢を相手に6勝2分の無敗と圧倒的な優位を見せつけた。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)セーラーズ(青)対大邱FC(白)

韓国勢が“東南アジアの沼”に陥った実質的な理由には、安易な対戦相手分析と試合に臨む態度が最優先に挙げられる。

これまでも、ブリーラム・ユナイテッドやムアントン・ユナイテッドなど、タイのビッグクラブが度々異変を起こし、東南アジア勢の可能性を証明したことがあった。ただ、近年は東南アジア各国優勝圏内1~2チームのレベルが大きく進歩している。

東南アジアリーグでプレー経験のあるKリーガーA氏は、「正直言って、東南アジアのチームや選手と初めて対戦する際に“格下”と見る傾向があることは事実だ。だが、近年の東南アジアのチームは絶対に無視してはいけない。資金力が豊かなチームを中心に世界的な選手を補強しており、国内の選手のレベルもかなり高くなっている」と伝えた。

欧州にも負けない東南アジアのサッカー人気

“アジアの虎”を自負する蔚山現代を2度下したジョホールは、ジョホール州の皇太子トゥンク・イスマイル・スルタン・イブラヒム氏がオーナーを務め、クラブへの積極的な投資を惜しまない。

蔚山現代相手にゴールを決めたイタリア人FWフェルナンド・フォレスティエリ(32)は、イングランド・プレミアリーグやイタリア・セリエAなど欧州ビッグリーグの経験者。アルゼンチン人MFレアンドロ・ベラスケス(32)も自国の名門ベレス・サルスフィエルド出身で、ブラジル人FWベルグソン(31)はKリーグの水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングス、釜山(プサン)アイパークでもプレーした。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)ベルグソン(左)

2020年のACLで蔚山現代を優勝に導いたキム・ドフン監督を招へいし、元韓国代表FWキム・シンウク(34)も獲得したセーラーズも、年間250億ウォン(日本円=約25億円)近い予算を稼働する。

東南アジアの事情に詳しいとあるエージェンシーの代表は、「東南アジアは欧州に劣らない強烈なサッカー人気を誇っている。放映権料が大幅に増えたことで、優秀な選手の需給が活発になり、中東のように富豪のオーナーが赴任してチームを運営し、かつて足を引っ張った八百長もほとんど消え失せた。施設から運営まで、すべてを欧州のシステムに従うチームが多い」と語る。

成長した東南アジア勢に分析不足の韓国勢

東南アジアで指導者生活を送ったとある監督は、「かつての東南アジア勢は守備戦術の理解なしにただ攻撃だけをしていた。ところが、最近では優秀な外国人監督、選手を迎え入れたことで、攻守のバランスが非常に良くなった」と話した。

過去に中国スーパーリーグが広州恒大(現・広州FC)などを中心にトップクラスの選手を迎え入れ、自国の選手の水準を高めたことと軌を一にするということだ。

一方、韓国勢は事前に東南アジアのチームに対する綿密な分析がなされていないというのが大方の見方だ。韓国勢すべてのチームが、東南アジア勢を相手にする際、守備のラインが広がり、マークすべき外国人選手の一発を浴びるという場面が続出した。

取材に応じた多数の関係者はいずれも、「ジョホールが今季Kリーグで唯一無敗の蔚山現代を2度も破った事実は、“東南アジアを軽く見るな”という警告のメッセージのようだ」と口をそろえていた。

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