これ以上の相手はいない。
カタールW杯への準備を進める韓国代表に残された国際Aマッチの機会は計6試合だ。5~6月の4試合、9月の2試合を戦った後、11月の本大会へと向かう旅程となっている。
今回のW杯は例年と異なり冬季開催となるため、日程そのものが違う。このため、11月の開幕まで多くの試合をこなすことができない。
そこで重要となるのが5~6月の国際Aマッチの日程だ。
国際サッカー連盟(FIFA)が定めた国際Aマッチ期間は5月30日から6月14日まで。同期間に計4試合を行うが、韓国もこの日程をフル活用する計画だ。短期間で複数の試合をこなして組織力を高め、戦力を極大化させる時期と言える。
韓国サッカー協会(KFA)によると、韓国代表は同期間の4連戦をすべてホームで開催する計画だ。移動距離の負担のない環境で、内部だけに集中できる見通しだ。
“スパーリングパートナー”となる対戦相手のレベルも高い。ひとまず、現時点では南米の強豪ブラジル、アルゼンチンが有力視されている。これはすでに両国のマスコミを通じても報じられており、協会もマッチメイクを進めていることを認めた。
両国は説明の要らない世界屈指のサッカー強国だ。FIFAランキングでもブラジルが1位、アルゼンチンが4位と、W杯出場国のなかでも最上位圏に属している。
韓国は本大会グループステージで南米のもう一つの強豪ウルグアイを対戦する。ウルグアイはFIFAランク13位であり、韓国より1枚上手の相手と言える。
ブラジルとアルゼンチンは南米予選でウルグアイにいずれも2戦2勝した。すなわち、“仮想ウルグアイ”となる国のなかで最も強い相手を迎え、腕試しができるというわけだ。
もっとも、“仮想ウルグアイ”という枠組みを超えても、ブラジルとアルゼンチンは韓国にとって大きな助けになる相手だ。
ブラジルにはFWネイマール(29、パリ・サンジェルマン)、アルゼンチンにはFWリオネル・メッシ(34、パリ・サンジェルマン)というスーパースターが存在する。客観的な戦力では韓国とW杯同組のウルグアイ、ポルトガル、ガーナを上回るため、韓国の選手にとっては良い“授業”となるはずだ。
また、決勝トーナメント進出時に対戦する相手のレベルを考えても、十分に意味のあるマッチアップになると期待を集めている。
それだけでなく、韓国代表率いるパウロ・ベント監督の話す“戦略変更”の試験台になるという点でも大きな意味を持つ。
アジア予選で徹底的なゲームコントロールを追求したベント監督は、本大会では別のアプローチを選択し得ることを公言した。現代表の特徴であるショートパスを駆使した攻撃スタイルを維持しつつも、より守備に比重を置いて相手の攻撃を耐える戦い方が必要であるという意味だ。
南米予選でブラジルは計40ゴール、アルゼンチンは計27ゴールと圧倒的な得点力を見せた。豪華攻撃陣を擁する両国を相手に、韓国代表は新たなゲームコントロールの方法をテストすることができる。
なお、現時点で韓国がブラジル、アルゼンチンとの国際親善試合を実施することは公式に発表されていない。KFA関係者は「すべての日程を確定した後、公式発表する」と明らかにしていた。
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