韓国Kリーグ1(1部)の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)が、シーズン開幕目前に緊急補強に成功。
Kリーグ2(2部)の光州(クァンジュ)FCに所属する韓国代表FWオム・ウォンサン(23)の獲得が決定的となった。
Kリーグの移籍市場に精通した複数の関係者は2月17日、本紙『スポーツソウル』に「蔚山現代がFCソウルと競合した末、光州FCが望む水準の移籍金を支払い、オム・ウォンサン獲得を終えた。選手との個人交渉も円満に行われた」とし、「早ければ翌18日にもチームに合流する予定だ」と伝えた。
オム・ウォンサンをめぐっては、同日、蔚山現代のファンの間でも獲得が有力だという話が出回っていた。
ホン・ミョンボ監督体制2年目を迎える蔚山現代は、2005年以来17年ぶりとなるKリーグ優勝に向けて着実に準備を進めていた。
ところが、シーズン開幕を前に多くの攻撃陣がチームを離れた。韓国代表FWイ・ドンジュン(25)はヘルタ・ベルリンに完全移籍、韓国代表MFイ・ドンギョン(24)はシャルケにレンタル移籍し、FWオ・セフン(23)はJ1リーグの清水エスパルスへ去った。
3人の中で最も痛い移籍だったのが、国内トップクラスのウィンガーと評価されたイ・ドンジュンだ。チームにはユース出身のFWキム・ミンジュン(22)という有望株もいるが、今季は杭州アジア大会を控えるU-23韓国代表への招集もあり、不在の期間が多くなると見られている。
そのため、蔚山現代はFCソウルと交渉中だったオム・ウォンサンの獲得に乗り出した。
1999年1月6日生まれのオム・ウォンサンはウィングを主戦場とする選手。
相手DFを置き去りにする圧巻のスピード、アジリティを持っていることから、“オム・サラー(オム・ウォンサン+モハメド・サラー)”の愛称を持つ。Kリーグでの通算成績は1部49試合13ゴール3アシスト、2部16試合2ゴール。
2019年にはU-20韓国代表の一員として、ポーランドで開催されたU-20W杯に出場。決勝トーナメント1回戦のU-20日本代表戦にも出場し、持ち前の快速で日本の守備陣を翻弄したシーンもあった。
その後、U-23(U-24)韓国代表として2020年1月のU-23アジア選手権、2021年夏の東京五輪にも出場。A代表では2020年11月のカタール代表戦でデビューを果たし、昨年11月のカタールW杯アジア最終予選にも招集され、イラク代表戦でFWソン・フンミン(29、トッテナム)と交代で途中出場した。
こうした経歴を持つオム・ウォンサンは、Kリーグ内でイ・ドンジュンと肩を並べるレベルのウィンガーとして蔚山現代に最適の人材だった。
そのため、ホン・ミョンボ監督は自らクラブにオム・ウォンサン獲得を強く要請。強化部は旧正月の休暇も返上し、多角的にオム・ウォンサンと協議を進めた。
オム・ウォンサン側も、光州FCが2部に降格しただけに、1部のビッグクラブからオファーがあれば移籍する意志があった。ただ、先にオム・ウォンサン側に接触したのはFCソウルであるため、蔚山現代はより良い条件を提示する必要があった。
蔚山現代は当初、光州FCにDFキム・ヒョヌ(22)と現金によるトレードに乗り出した。ただ、最終的には移籍金を支払って交渉が完了した。
元々、FCソウルは光州FCに移籍金13億ウォン(日本円=約1億3000万円)を提示していたという。だが、蔚山現代がそれを上回る15億ウォン(約1億5000万円)を提示したため、蔚山現代との取引が成立した。
その後、オム・ウォンサンとの個人交渉も滞りなく行われた。彼自身、蔚山現代でKリーグ1優勝という夢を目指す意志を伝えた。
蔚山現代はイ・ドンジュンの空白をオム・ウォンサン獲得で埋めた。そこに新加入の元韓国代表FWパク・チュヨン(36)、さらには加入間近とされる元浦和レッズのブラジル人FWレオナルド(24)も加わり、新生攻撃陣に新たな期待をかけられるようになった。
■天野純の姿も!? YouTubeでも視聴できる蔚山現代の自主制作ドキュメンタリーとは
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