「言葉が出ない」
“韓国射撃の皇帝”と呼ばれるチン・ジョンオ(41)が、そう短く話して肩を落とした。
チン・ジョンオは7月24日、陸上自衛隊朝霞訓練場で行われた東京五輪の射撃男子10mエアピストル本選で576点の15位を記録し、上位8人で競うファイナルへの進出を逃した。
一方、同種目に出場したキム・モセ(22)は579点を記録し、6位で決戦行きを決めた。
チン・ジョンオは2004年アテネ五輪から2016年リオ五輪まで4大会連続オリンピックに出場した韓国射撃界の“生きるレジェンド”だ。
2004年アテネ五輪50mピストル銀メダルを皮切りに、2008年北京五輪50mピストル金メダルと10mエアピストル銀メダル、2012年ロンドン五輪50mピストルと10mエアピストルで金メダルを獲得し、前回の2016年リオ五輪では50mピストル3連覇を達成。これまで金メダル4枚、銀メダル2枚を獲得している。
そして、今大会であと1枚メダルを追加すれば、元アーチェリー選手のキム・スニョン(金4枚、銀1枚、銅1枚)を越え、韓国選手のオリンピックメダル最多獲得記録を塗り替えるという状況だった。
10mエアピストルの本選は、1シリーズ当たり10発ずつを6シリーズ撃った後、合算点数(600点満点)をつける。
チン・ジョンオは4シリーズまで苦戦を強いられ、一時は19位まで沈んだ。ただ、5シリーズで97点を記録してからは持ち直し、6シリーズでは8回連続10点を挙げて9位まで順位を上げた。しかし、9発目で欲が出たのか8点を記録し、10発目で9点を記録したことで、ファイナル進出を逃してしまった。
試合直後、チン・ジョンオは暗い表情で共同取材区域を通過した。6シリーズの悔やまれる8点については「言葉が出ない」とし、「混合戦で頑張りたい」と短く答えて会場を後にした。
チン・ジョンオは来る27日、混合10mエアピストル団体でメダル獲得に再挑戦する。
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