U-24韓国代表率いるキム・ハクボム監督は冷静だった。
6月30日、キム監督は東京五輪に出場する18人のメンバーを発表。
MFイ・ガンイン(20、バレンシア)や元アビスパ福岡MFウォン・ドゥジェ(23、蔚山現代)らが選出されたほか、元ガンバ大阪FWファン・ウィジョ(28、ボルドー)がオーバーエイジ枠に選ばれた。
一方、同月に国内で練習を行った2次招集メンバー23人からは、以下の8人の選手が落選となった。
GK:アン・チャンギ(水原三星ブルーウィングス)
DF:カン・ユンソン(済州ユナイテッド)、イ・サンミン(ソウルイーランドFC)、イ・ジソル(大田ハナシチズン)
MF:キム・ジンギュ(釜山アイパーク)
FW:チョン・ウヨン(フライブルク/ドイツ)、キム・デウォン(江原FC)、チョ・ヨンウク(FCソウル)
2次招集メンバー発表当時、“韓国のメッシ”と呼ばれたFWイ・スンウ(23、ポルティモネンセ)のほか、これまで前線の主力を担ってきたFWオ・セフン(22、蔚山現代)、FWチョ・ギュソン(23、金泉尚武)の2人を同時に落選したことで衝撃をもたらしたキム監督は、今回も果敢な選択で周囲を驚かせた。
何より、かつてV・ファーレン長崎でもプレーしたイ・サンミンの脱落が意外だ。
イ・サンミンは東京五輪世代のなかでも特にリーダーとしての役割を果たしてきた。昨年1月のU-23アジア選手権ではキャプテンマークを巻いて優勝トロフィーを掲げ、今年6月のU-24ガーナ代表との国際親善試合第1戦では守備はもちろんゴールを決めるなどし、自身の能力を最大限発揮した。
しかし、最後の最後でメンバーから外れた。キム監督は「イ・サンミンはこれまでキャプテンを務めてきたが、さまざまな要因があって外れることになった」と、イ・サンミン落選の背景を明かした。
なお、イ・サンミンに代わり東京五輪でキャプテンマークを巻くのは、同じセンターバックを務めるDFチョン・テウク(24、大邱FC)だとキム監督は公表している。
キム・ジンギュの脱落も意外だ。
キム・ジンギュは中盤の2~3列目をハイレベルでこなせるマルチプレーヤーだ。彼もU-23アジア選手権当時の主力であり、U-24ガーナ代表との国際親善試合でも秀麗な突破と正確なパスを披露していた。
しかし、U-24韓国代表最大の激戦区である2列目で生き残ることはできなかった。キム・ジンギュの同ポジションにはイ・ガンインに加えてオーバーエイジ枠でFWクォン・チャンフン(26、水原三星ブルーウィングス)も合流することになった。
欧州組だからといって有利なことはなかった。キム監督がかねてから期待を寄せていたチョン・ウヨンも落選したのだ。
上記2人と違いU-23アジア選手権で本来の姿を見せられなかったチョン・ウヨンは、2020-2021シーズンのドイツ・ブンデスリーガで苦しみながらも成長を遂げた。その勢いのままにU-24韓国代表でも定着を図ったが、惜しくも失敗に終わった。
キム監督は「チョン・ウヨンの場合、この席で(選手が)良いかどうかを語るのは正しくない。ただ、彼はより発展できる選手であり、今後の韓国サッカーをけん引する存在であることは間違いない」と、ポテンシャルを高く評価していた。
もっとも、チームで長く生活した教え子たちを落とすことは、キム監督としては良い気分ではないだろう。
キム監督は「選抜可否は本当に紙一重どころではなかった」とし、「どのように試合を準備し、相手をどのように対応するかで起用する選手は変わる。(落選した)選手の心は痛いだろうが、理解してくれると信じている」と淡々と語っていた。
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