「オリンピックの意味は理解している。だが、A代表選抜過程は極めて正常だった」
サッカー韓国代表を率いるパウロ・ベント監督は、5月24日に行われたメンバー発表記者会見でこのように発言した。
来る6月に国内で集中開催する2022年カタールW杯アジア2次予選グループHを控える韓国代表。この日、ベント監督はソン・フンミン(トッテナム)やファン・ウィジョ(ボルドー)など、主力欧州組含めた28人の招集メンバーを公開していた。
最大の関心事はU-24韓国代表と重複する選手の招集だった。ベント監督はメンバー発表前、U-24韓国代表のキム・ハクボム監督と重複する選手をめぐり協議を行った。
7月の東京五輪を前に最後の招集トレーニングと国際親善試合を行うだけに、いつにも増してベント監督の譲歩が必要だった。しかし、ベント監督は去る3月の“日韓戦”同様、「A代表優先」を訴えた。
その後、KFA技術本部が両者の仲裁に乗り出した。結局、イ・ガンイン(バレンシア)やイ・ドンジュン(蔚山現代)ら一部選手はU-24韓国代表に招集されたが、ウォン・ドゥジェ(蔚山現代)やイ・ドンギョン(蔚山現代)、ソン・ミンギュ(浦項スティーラース)らはA代表に選出された。
ベント監督は「今回の選考は極めて正常な過程を経た。今は協会にとっても非常に重要な時期だ。A代表のW杯予選突破という結果が重要だ」とし、「オリンピックの意味や選手にどのような恩恵(兵役関連)があるのかも知っているが、今回は我々が重要だと思った選手を含めた」と強調した。
また、イ・ガンインについては「クォン・チャンフンやイ・ドンギョン、イ・ジェソンら代替選手がいる」と伝えた。
以下、ベント監督との一問一答。
◇
―3月の“日韓戦”と比べて主力が大勢合流したが。
どの瞬間も(選手招集をめぐって)置かれた状況は違う。以前と比較することは難しい。常に最善の結果を得るため努力している。
ただ、今回は親善試合ではない。W杯アジア2次予選をパスしなければならない。ため、より最適なメンバー構成に努めた。
―イ・ガンインはU-24韓国代表に合流したが。
イ・ガンインは攻撃的MFで真価を発揮するが、ナム・テヒやクォン・チャンフン、イ・ドンギョン、イ・ジェソンらが同じポジションを消化できる。彼らのマルチロールさも考慮した。攻撃的MFとしてプレーする可能性もあるが、中央やサイドでもこなせる才能を備えているため、選抜することになった。
―U-24韓国代表と重複する選手の招集をめぐり、あらゆる雑音があったというが。
まず、今回の選抜は極めて正常な過程を経たと伝えたい。選手を評価し、我々が望む選手を韓国サッカー協会に報告した後、選抜する。今は協会にとって非常に重要な時期だ。A代表のW杯予選の結果が重要だ。
オリンピックやアジア大会が持つ意味は私も理解している。オリンピックの象徴性を離れ、選手にどのような恩恵(兵役関連)があるのかも知っている。そのような部分は考慮してきた。2019年12月のオリンピック予選や、昨年10月のU-23韓国代表と対戦したときがそうだ(一部選手を譲歩したという意味)。今回は我々が重要だと考えた選手を(A代表に)選んだ。改めて申し上げるが、正常な過程を経てリストを作成した。
―(東京五輪世代の)ウォン・ドゥジェ、イ・ドンギョン、ソン・ミンギュを選出した理由は?
ウォン・ドゥジェは昨年から着実に招集してきた。イ・ドンギョンも我々が良く知る選手だし、今回はともにしたかった。ソン・ミンギュもやはり地道に見守ってきた選手だ。サイドや中央などさまざまなポジションをこなせるマルチプレーヤーだ。何より得点力が印象的だ。狭い空間でもフィニッシュできる能力が我々を助けてくれると考えた。
―選手選抜の過程で(韓国サッカー協会の)イ・ヨンス副会長と対話を交わしたと聞いているが。
内部でどのような話があったのかを公開することはできない。6月の招集メンバーについて話し合うための平凡なミーティングだったと言える。
―サイドバックにイ・キジェを初めて選んだ。2002年生まれのチョン・サンビンもサプライズ選出だが。
イ・キジェは長い間観察した。水原三星と代表でフォーメーションはそれぞれ違うが、彼は技術的に優れた選手であり、代表でも自分の能力を発揮できると思った。特に、セットプレーが非常に大きな長所だ。
チョン・サンビンも非常に特徴があり、能力も持ち合わせている。とても速い。真面目に動き、守備でも自分の役割を果たせる。戦術理解度が高いと見た。所属チームでは2トップの一角でプレーしているが、代表でも4-4-2や3-5-2など2トップを用いる。そのような点で、彼が代表でも長所を発揮できるかが気になる。代表選出に(若い)年齢は障害ではなく、能力だけを見ている。
―以前の“日韓戦”惨敗で世論が良くないが。
表面しか見えないものもあるが、内実を得ることもある。1試合の結果だけでチーム自体が左右されるのは望ましくない。“日韓戦”については試合が終わった後もそうだったし、帰国後も改善点を見出そうと努力した。
結果については責任を痛感する。ただ、これからはどのように良い姿を見せるかだけ考えている。今は2次予選の3試合をどのようにこなし、選手たちと信頼を築けるかだけ考えている。
―“内実”とはどういう意味か。
全般的に我々が経た過程に満足するという意味だ。我々は新型コロナウイルス感染症以前と以後で分けて評価しなければならない。2019年12月前後になるだろう。(2019年初めの)アジアカップは結果が惜しかったが、その後行ったW杯予選は結果のみならず内容もポジティブだった。E-1サッカー選手権で優勝もしたし、ブラジルとの国際親善試合以外に敗北はなかった。ただ、その後は(新型コロナによって)ほとんど招集できなかった。昨年11月に欧州遠征を行い、今年は日本と戦ったのがすべてだ。
―“日韓戦”当時、選手招集をめぐりKリーグクラブとのコミュニケーションが不十分だったという指摘を受けたが、今回はどうだったか。
これまで常に(疎通を)してきた。選手の状態がどうなのかを引き続き確認している。
もちろん、3月は一部選手が正常なコンディションではなかった。キム・ヨングォンやホン・チョルがそうだ。ただ、こうした選手を選出するときは、代表の医療チームやクラブとのコミュニケーションを通じ、状態を把握したうえで選ぶ。ホン・チョルは最近、負傷やその前まで着実に試合に出場した。現在は(プレーできないほどの)状態とは見ていない。万が一の事態に備えて(代替選手を)数人選んだ。
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