欧州SLの是非と脅かされるCLの伝統と価値、欧州サッカーは超巨大資本に屈するのか

2021年04月20日 サッカー #欧州サッカー

4月18日(現地時間)、欧州12の名門クラブが「ヨーロッパ・スーパーリーグ」(ESL)発足計画を発表し、サッカー界に混乱に陥っている。

“サッカーの母国”イギリスのボリス・ジョンソン首相は、直ちに反対の立場であることを表明。欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンデル・チェフェリン会長は、「サッカーファンの顔に唾を吐いている」と非難している。

ESLに出場するクラブの選手たちは、UEFAが主管する全大会(1年延期されたユーロ2020、2022カタールW杯欧州予選など)において出場を制限する方針を発表されたことにより、欧州は事実上の“サッカー戦争”に突入した様相だ。

欧州のトップ・オブ・トップが賛同、集結

各国リーグのミッドウィークに試合を行うESLが発足すれば、60年以上の伝統で欧州はもちろん世界中のサッカーファンに愛されてきたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)が大きな脅威にさらされることは必至だ。

イングランド・プレミアリーグの6クラブ(マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、アーセナル、リバプール、チェルシー、トッテナム・ホットスパー)、スペイン・ラ・リーガの3クラブ(レアル・マドリード、アトレティコ・マドリード、FCバルセロナ)、イタリア・セリエAの3クラブ(ユベントス、インテル、ACミラン)といった超名門クラブがESL創設クラブとして参加を表明しており、さらなる波紋が予想されている。

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(写真提供=PanoramiC/アフロ)
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欧州3大ビッグリーグの名門クラブたちがいないCLを想像できない。ドイツ・ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンとボルシア・ドルトムント、フランスリーグ・アンのパリ・サンジェルマンらは不参加を発表しており、今後の動向に注目が集まっている。

サッカーの伝統と価値とは

CLは欧州最高峰の大会という肩書以外にも、欧州全域のチームが参加できるように本選に先立って予選も行うなど門戸を広げており、数々の名勝負が生まれてきた。

新型コロナ禍で財政危機に陥った名門クラブが、米投資銀行JPモルガンの天文学的な資金提示に、長い歴史と伝統を誇るCLを投げ捨て、新たなリーグに目を向けたという点で波紋はさらに大きくならざるを得ない。

これから12の創設クラブに3チームを加え、さらに5チームを追加するとされているが、サッカーの価値とは何か、クラブが目先の利益を追求するのが全てではないはずだ。

中堅クラブなどを排除し、名門クラブ同士だけが集まって莫大な優勝賞金を争うのはいかがなものか。超巨大資本の力に崩れ去ろうとしているサッカーの伝統と価値を、もう一度再考すべきではという声も上がっている。

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