TVゲーム感覚で現場介入の球団オーナーに振り回された韓国プロ野球チームの呆れた実態

韓国プロ野球キウム・ヒーローズのホ・ミン理事長は、権力を得た代わりに選手たちからの支持を失った。

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その原因は、実質的なオーナーであるホ・ミン理事長による過度な現場介入という名の“遊び”だ。

選手からの支持を得て何の意味があるんだ、という反論もあるかもしれない。しかし野球に限らずスポーツは、オーナーや経営者ではなく、選手がプレーするものだ。チームの象徴的な存在ともいえるオーナーから心が離れた選手は、ある程度までは頑張っても、ギリギリのところで手を抜いてしまうため、結果的にチームの勝利は遠ざかる。

今シーズン、現在5位のキウムの選手たちはベストを尽くしているといえる。このまま5位というギリギリの順位でワイルドカード決定戦に進出し、第1戦目で敗北したとしても非難する声は少ないだろう。

それは成績がそれほど振るわない原因が選手たちにではなく、フロントにあったとの見方が強いからだ。

10月8日のNC戦で試合状況をメモしている、キウム・ヒーローズのキム・チャンヒョン監督代行

もはやテレビゲーム感覚のホ・ミン理事長

キウムは昨シーズンの韓国シリーズ準優勝メンバーを擁しているものの、今シーズンは皆が大小問わず故障を抱え、苦しいシーズンを過ごしている。それでもソン・ヒョク監督の選手起用や工夫があり、勝利数を積み上げていった。

しかし10月8日、10チーム中3位につけていたにも関わらず、成績不振を理由にソン・ヒョク監督が辞任を発表した。

一部では、成績不振は建前で、ホ・ミン理事長による現場介入の度が過ぎていたため、ソン監督が辞任を申し出たともいわれている。

常人には理解しがたい辞任であり、チームの雰囲気が悪化するのも無理はない。キウムは以降、試合に対して粘り強さを失っていく。試合中盤まで対等な戦いをしながらも、流れが相手に渡れば諦め、すぐにタオルを投げるような試合が続いた。

ソン・ヒョク前監督の解任により、繰り上がりで指揮権を得たキム・チャンヒョン監督代行は、「打線のサイクルは上昇曲線のように回復するはずだ。すぐに良くなるだろう」と力を吹き返そうとしたが、チーム全体がスランプ気味でうまく抜け出せずにいる。

そもそもキム監督代行はプロ経験がなく、戦力分析員として入団しており、また年齢も35歳と若いため、選手たちを奮起させるには力不足かもしれない。

打線が不調でも主砲のホームラン1発で運良く勝てた試合もあるが、その確率もおよそ30%に過ぎない。また相手がエラーなどで自滅する場合もあるが、結局これも神頼みで根本的な解決には至らない。

2回に失点した後、マウンドを訪れたコーチの話を聞いているキウム先発投手ヨキシュ

チームにとっても選手にとっても必要な抜本的改革

プロ選手たちは試合で手を抜くことはできない。しかし、流れが悪いときに状況を打破するための方法を積極的に模索するか否かは、チームの雰囲気に左右される。理解しがたい人事に振り回されたことで、チームのために戦おうという気概のある選手も多くなかったはずだ。

頑張って試合に臨んだとしても、球団から目障りと認識されてしまえばおとなしくするしかないという空気がチーム内に醸成されているので、現状維持に努めるしかない。

いくら球団オーナーが権力を持っていても、選手なしには野球はできない。それぞれが適当なところで妥協して、手にあまりそうであれば放棄するという悪循環が繰り返された。

すでにキウムは前身ネクセン・ヒーローズ時代の2014年ポストシーズン、同様の経験をしている。プレーオフでLGツインズに勝利し、球団創設後初の韓国シリーズ進出に成功したが5連敗し、やれることはやったという空気が選手間に流れた。第6戦で力なく敗れたこともこの雰囲気が悪影響を与えといわれる。

余談だが、ネクセン時代のオーナー、イ・ジャンソク氏は約20億ウォン(約2億円)の詐欺容疑で2016年に逮捕されており、お騒がせ球団なのはもはや体質なのかもしれない。

今年も及第点の5位にさえ達すれば、選手たちは責任を回避する大義名分が生まれる。なぜなら監督を更迭したのは選手たちではないからだ。球団オーナーの“遊び”に振り回され、選手のモチベーション管理などに気を配れなかった経営陣の失策だ。

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