「セレッソにいるときはケガが多く、4番手のゴールキーパーだった。札幌はプロデビューもしていなかった僕を信じて獲得してくれたチームだ。移籍した当時、ここで1年プレーしてダメだったらサッカーをやめることすら考えていた」
「最初の冬季キャンプで良く見てくれたからか開幕戦から出場機会をいただき、それからも僕を信頼してずっと起用してくださった。札幌でプレーしながらオリンピックも出場して、A代表にも選ばれた。僕にとって本当にありがたいチームだ」
自身のサッカー人生を大きく変えたチームを離れる決断は決して容易いものではなかったはずだ。
だが、ク・ソンユンはこれ以上日本での生活を続けられないと考え、苦渋の決断を下したという。
「契約期間が残っている状況だったが、解約要請をしたとき、クラブは反対する雰囲気ではなかった。精神的な困難を訴えたりもした。チームも僕の苦痛を良く理解してくれた。札幌で6年目だったが、これまで献身してきた部分を認めてくれた」
ク・ソンユンは2016年リオ五輪や2019年E-1サッカー選手権など代表経験も豊富で、Jリーグでも通算166試合(J1で100試合、J2で66試合)の出場記録も持つ。
だが、そんな彼もKリーグでは新人だ。ク・ソンユンは大邱FCの若いチームカラーや昨シーズンのKリーグ興行をリードした本拠地DGB大邱銀行パークに対し、最初の印象が深く残っているようだった。
彼は傍から大邱FCを見て「若い雰囲気のチームだった。大邱市民が多く訪れており、素晴らしい熱気のあるチームだ。胸躍らせるチームだ。選手ならプレーしてみたいチームだと思った」と語る。
そして、チームに合流以降、活気に満ちた雰囲気が強烈な第一印象として残っているという。
「高校以来、代表チームを除いて韓国で練習を行うのは初めてだ。実は、少し重たい雰囲気ではないかと思っていた。でも、若手やベテランなどのバランスも良く、活気に満ちた雰囲気だった。僕もまた元気よくチーム生活をしている」
大邱FCとの契約直前、ク・ソンユンはオリンピック代表で同じ釜の飯を食べたチームキャプテンのホン・ジョンウンに連絡し、意気投合を誓っていた。しかし現在、ホン・ジョンウンはリーグ戦でひざを負傷し、長期離脱を余儀なくされている。
「ジョンウンとはオリンピック代表でルームメイトだった仲だ。僕が合流する前日にジョンウンがひざを負傷し、残念だった。今シーズン、一緒に歩調を合わせながら良い結果を残したかった。ジョンウンの分まで頑張ってプレーしたい」
戦列を離れた仲間の分まで奮闘することを意気込んだ“新人”ク・ソンユン。彼のKリーグ・デビュー戦が待ち遠しいところだ。