かつて大谷翔平への“故意死球”発言騒動で物議を醸した韓国人投手コ・ウソクが、春季キャンプ中にマイナー降格の憂き目に遭った。
マイアミ・マーリンズは3月4日(日本時間)、マイナーキャンプに降格する6選手を発表した。その中にコ・ウソクも含まれた。
コ・ウソクはマーリンズの春季キャンプに招待選手として参加していたが、2月21日にウェイトルームで実施したタオルを用いたシャドーピッチング中、右手人差し指を骨折する負傷をした。
そのため、オープン戦には一度も登板することなく、マイナーキャンプでリハビリに専念することになった。
韓国プロ野球時代は国内屈指のクローザーとして、2023年に前所属LGツインズの統合優勝(レギュラーシーズンと韓国シリーズの優勝)に大きく貢献したコ・ウソクは、昨年1月にサンディエゴ・パドレスと2年総額450万ドル(日本円=約6億7807万円)の契約を結んだ。
また、韓国で開催された「MLBワールドツアー・ソウルシリーズ」にも帯同し、母国でのMLBデビューに期待を寄せられていたが、開幕直前にロースターを外れマイナー降格。結局、同年5月にはマーリンズへトレードされた。
ただ、マーリンズでも思うような活躍はできず、5月中に40人ロースターからDFA(事実上の戦力外)に。その後は傘下マイナーでプレーしたが、AAAのジャクソンビル・ジャンボシュリンプで16試合2勝1ホールドの防御率4.29、AAのペンサコーラ・ブルーワフーズで28試合2勝3敗3セーブの防御率8.04と苦しい成績に終わった。
そして今回、再起をかけた春季キャンプでもマイナー降格となったコ・ウソクだが、何よりもまず克服すべき課題は右手負傷からの回復だ。リハビリを終えて初めて彼には再びMLB昇格のチャンスが与えられる。
“消えたメジャーリーガー”になりつつあるコ・ウソクは、悲願のMLBの舞台に立つことができるのか。試練の時間は続く。
なお、コ・ウソクは2023年3月のWBC前、とある韓国メディアとのインタビュー内で大谷翔平との対戦可能性を問われた際、「真ん中に投げて(大谷が)ホームランを打つのかという考えが先に浮かんだ。本当にいざマウンドに上がったとき、投げるところがなければ、痛くないところに当てなければならない。(塁に)出して、次の打者と勝負する」と発言したことが“故意死球”を示唆すると捉えらえ、日韓で大きく批判が広がったことがあった。
ただ、コ・ウソク自身はその後、別の韓国メディアとのインタビューで「(最初は)“真ん中に強く投げたい”と話したら、(当時の記者から)“もう少し面白く話してほしい”と伝えられた。誤解の余地がある発言をしたことは自分の過ちだったが、ただの一度も“誰かにわざと当てろ”と野球を習ったことはない。それが一番悔しい」と、当時の発言に誤解があったことを告白していた。
◇コ・ウソク プロフィール
1998年8月6日生まれ。韓国・仁川出身。身長180cm。韓国のプロ野球選手。マイアミ・マーリンズ傘下マイナーAAペンサコーラ・ブルーワフーズ所属。高校卒業後の2017年にLGツインズでプロデビュー。2019年に韓国プロ野球史上最年少30セーブ(21歳1カ月7日)達成、2022年に42セーブでセーブ王に輝き、韓国プロ野球史上19人目の通算100セーブ到達。2024年1月にサンディエゴ・パドレスと契約するも、開幕直前にロースターを外れ、メジャー昇格なく同年5月にトレードでマイアミ・マーリンズに移籍も、同月31日にDFA。韓国代表では2019年プレミア12、2021年東京五輪、2023年WBC、杭州アジア大会に出場。2023年1月、元中日ドラゴンズのイ・ジョンボム(李鍾範)の娘で、イ・ジョンフ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)の妹イ・ガヒョンと結婚した。
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