韓国人選手を「ジャッキー・チェン」と呼んだイタリア人選手、人種差別発言でFIFAから出場停止処分

サッカー韓国代表FWファン・ヒチャン(28、ウォルヴァーハンプトン)に人種差別発言をしたイタリア人DFマルコ・クルト(25、チェゼーナ)に出場停止処分が下された。

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国際サッカー連盟(FIFA)は10月8日(日本時間)、「クルトが差別的な発言をしたことが認められ、10試合出場停止処分を下す」と発表した。

ファン・ヒチャンに対する人種差別事件は、去る7月16日にスペインで行われたウォルヴァーハンプトン対コモのプレシーズンマッチで発生した。

同試合で後半から途中出場したファン・ヒチャンは当時コモ所属だったクルトから人種差別的な発言を浴びた。これにファン・ヒチャンのチームメイトである元ポルトガル代表FWダニエル・ポデンセ(28、現アル・シャバブ)が激怒し、クルトに向かって拳を振り上げて退場処分となるなど、現場は一時騒然となった。

当時はポデンセだけでなく、ほかのウォルヴァーハンプトンの選手も怒りを表していた。なお、試合は1-0でウォルヴァーハンプトンが勝利した。

試合後、ウォルヴァーハンプトンを率いるゲリー・オニール監督は、「チャニ(ファン・ヒチャン)が人種差別的な発言を聞いた。彼に(試合中)もうプレーをやめるかと聞いたが、最後までプレーすると言っていた。苦しいときもチームを最優先に考えた。彼は全面的な支援を受けなければならない」とコメント。ウォルヴァーハンプトンも公式SNSを通じて「いかなる形であれ人種差別は容認できない。今回の事件と関連して欧州サッカー連盟(UEFA)に公式抗議書を提出する」と声明を発表した。

ファン・ヒチャン自身も、SNSを通じて「人種差別はスポーツにおいても、人生のあらゆる場面においても耐えがたいものだ。事件の後、コーチングスタッフとチームメイトはすぐに“必要なら一緒にグラウンドを離れる”と言ってくれたし、自分のことをずっと気にしてくれた。チームメイトには改めて感謝している」と言及した。

ファン・ヒチャン
(写真提供=ロイター/アフロ)ファン・ヒチャン

一方、コモも同様に声明を発表したが、こちらは人種差別が“誤解”であり、ウォルヴァーハンプトン側が“過剰反応”したと説明。

「我がクラブは人種差別を容認せず、すべての形の人種差別を非難する」としつつも、「何を言われたのかを理解するため、問題の選手に話を聞いた。彼がチームメイトに言った言葉は、“無視しろ。彼は自分がジャッキー・チェンだと思っているんだ”というものだった。選手たちと深く対話した結果、この発言は選手の名前と、ピッチ上でチームメイトが常に“チャニ”と呼んでいたことに言及したものだと確信している。我がクラブが認識する限り、選手は侮辱的な発言をしていない」と、クルトが差別発言をしたことを否定した。

また、「特定のウォルヴァーハンプトンの選手たちの反応によって、この事件が大げさに扱われてしまったことに失望している」と表明していた。

ただ今回、クルトはFIFAによって人種差別発言をしたことが公に認められ、出場停止処分を下されることになった。

なお、クルトはウォルヴァーハンプトンとのプレシーズンマッチ後の7月23日にチェゼーナへのレンタル移籍が発表。8月に開幕したセリエBでは現在まで6試合に出場し、1ゴールを記録している。

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