「諦めない魂は我々が受け継ごう ユ・サンチョルヒョン(兄貴)とともに…」
特別なACL日韓対決だった。
4月17日、蔚山文殊(ウルサン・ムンス)サッカー競技場で行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝の第1戦。試合はホームチームの蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)が横浜F・マリノスに1-0で勝利した。
事実上の“東地区決勝”で激突した蔚山と横浜FMは、お互いにチームのレジェンドであるユ・サンチョルさんを追悼し、心を一つにした。
蔚山も横浜FMも近年のACL常連クラブだが、直接対決するのは意外にも今回が初めてだ。そこで、勝負を離れ、特別なメモリアルイベントを両クラブが心を一つにして企画した。ともに共有できる熱い思い出があった。
すい臓がん闘病の末、2021年6月7日に49歳の若さでこの世を去ったユ・サンチョルさんの存在だ。
現役時代はストライカーから中盤、サイドバックまですべてのポジションをハイレベルにこなす“ユーティリティプレーヤー”として活躍したユ・サンチョルさん。
蔚山では1994~1998年、2002~2003年、2005~2006年の通算9シーズン在籍し、Kリーグ通算144試合38ゴール9アシストを記録。Kリーグ(1996、2005年)、リーグカップ(1995、1998年)、スーパーカップ(2006年)、A3チャンピオンズカップ(2006年)優勝を経験した。
また、横浜FMでも1999~2000年と2003~2004年に活躍し、2度のJリーグ優勝(2003、2004年)に大きく貢献した。柏井レイソルにも2001~2002年に在籍し、Jリーグ通算113試合44得点を記録した。
蔚山はアジアサッカー連盟(AFC)と横浜FMの同意と協力を得て、ホーム開催のACL準決勝第1戦で「ユ・サンチョルさんメモリアルイベント」を開いた。
会場の一角に設けられた「献身と記憶の壁(Wall of Legends)」は、ユ・サンチョルさんを追悼する空間に彩られた。ホーム側に設置された同空間は横浜FMサポーターのためにも開放された。
横浜FMサポーターは、ユ・サンチョルさんの生前に本拠地・日産スタジアムで彼の快癒を願う横断幕を掲げ、韓国でも注目を集めた。
今回も多くのサポーターが韓国まで駆け付けたほか、ユ・サンチョルさんのお墓がある忠清北道忠州市(チュンチョンブクド・チュンジュシ)も訪れたという。
蔚山の選手たちは入場時、ユ・サンチョルさん追悼グッズのタオルマフラーとTシャツを着用。両チームの選手とサポーターはキックオフ前、ユ・サンチョルさんのメモリアルムービーを全員で見た。
横浜FMゴール裏は、日本語と韓国語で書かれた横断幕を掲げていた。
「諦めない魂は我々が受け継ごう ユ・サンチョルヒョン(兄貴)とともに…」
“サンチョルヒョン”という慣れ親しんだ表現を用いて、現役時代に彼が見せた諦めない精神を受け継ごうというメッセージだった。韓国のサッカーファン、サポーターが記憶するユ・サンチョルさんの選手時代と同じだ。
試合開始後にはユ・サンチョルさんが蔚山で着用した背番号にならい、前半6分に60秒間起立しての拍手が行われ、6回の「ユ・サンチョル!」コールが会場にこだました。
蔚山と横浜FM、両クラブのフロント、選手、スタッフ、ファンが一つになり、偉大なレジェンドを偲んだ。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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