サッカー韓国代表は、欧州組が今年の代表活動を終えることとなった。次なるミッションは、12月のE-1サッカー選手権で成果を上げることだ。
パウロ・ベント監督率いる韓国代表は、11月19日(日本時間)のブラジルとの親善試合(0-3)を終え、100%の戦力で臨む今年のスケジュールを終えた。
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悔しさの残る1年だった。ブラジル戦の結果関係なしに、韓国は重要な大会で十分な成績を残すことができなかった。
今年初めのアジアカップではベスト8で早期脱落し、下位との対戦が続く2022年カタールW杯アジア2次予選では2勝2分を記録している。4年前、ウリ・シュテューリケ監督時代に2次予選を無失点全勝で通過したことに比べると、なおさら納得のいかない結果だ。
平壌(ピョンヤン)での無観客試合、ジンクスのあるレバノン戦と一筋縄ではいかない試合があったのは事実だが、結果と内容のいずれも上手くいかないようであれば、問題があるといわざるを得ない。
ベント監督に残された今年最後の課題は、東アジアサッカー連盟(EAFF)E-1サッカー選手権だ。同大会には欧州組が招集されず、韓国Kリーグをはじめ、Jリーグや中国スーパーリーグなど、東アジア各国でプレーする選手が招集される。
中東のカタールリーグでプレーするチョン・ウヨンやナム・テヒは、所属チームがシーズン中のため招集できない。今の韓国代表の主力を担うのは、ソン・フンミンやファン・ウィジョ、イ・ジェソン、ファン・ヒチャン、イ・ガンインなど欧州組だ。
中東組の2人も、代表で定位置を確保しつつある。ベント監督は主力を欠いた状態で、E-1サッカー選手権を戦い抜く必要がある。
E-1サッカー選手権は欧州組が出場しないこともあって重要度の低い大会と認識されるが、代表チームの競争力を強化する絶好の機会でもある。欧州組の穴を、日中韓でプレーする選手たちが埋めることができれば、選手起用の幅も大きく広がる。
ワールドカップは3年後の2022年に開催する。にもかかわらず、ベント監督が招集するメンバーは毎回大きな変化が見られない。数人程度の変更はあるものの、初招集となる選手よりもすでに代表経験の豊富な選手が呼ばれるケースが多い。
先発のラインナップも、多少の変化はあるにせよ、大事な試合では毎回同じ11人がスターティングメンバーに名を連ねている。こうした堅実すぎるメンバー構成に、批判の声も上がっている。
もちろん、これで結果を残せていれば問題はない。だがアジアカップの失敗後、ワールドカップアジア2次予選でも不安定な姿を見せていることが問題なのである。
ベント監督は、複数の選手をテストできる今回のE-1サッカー選手権を、2020年の代表活動の試金石とする必要がある。特に攻撃陣は主力の大半が欧州組なだけに、Kリーグで活躍する選手たちが代表でチャンスを得られる機会とすべきだ。
一方で、代表の新たな攻撃オプションとして定位置をつかんだキム・シンウクの活用法を、より確実なものとする良い機会でもある。
ベント監督は、キム・シンウクを韓国代表の秘密兵器と認め、着実に出場機会を与えている。主力ストライカーのファン・ウィジョがいないのであれば、キム・シンウクに多く出場時間を設け、彼の持ち味を最大限発揮できる戦術を見つけることも1つの目標だろう。
韓国代表は、北朝鮮、レバノンとのアウェー戦でゴールネットを揺らすことができなかった。
全体的に攻撃の精度が芳しくない。同じミスを繰り返さないためには、キム・シンウクを生かせる“プランB”の完成度を高めなければならない。2次予選で戦う相手よりもレベルの高い日本や中国を相手に、キム・シンウク活用法を見いだせれば、2020年の2次予選も自信を持って臨むことができる。
E-1サッカー選手権でも結果を求められることは当然ではあるが、同時に翌年に向けた準備を進めることもベント監督に求められている。
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