韓国サッカー協会(KFA)の“行い”に、Kリーグが激怒した。
週末に行われたKリーグの試合会場では、KFAの八百長犯赦免の試みに憤怒したファンの“横断幕デモ”が各地で繰り広げられた。
特に4月1日、大田(テジョン)ハナシチズン対FCソウルが行われた大田ワールドカップ競技場では、大田サポーターが以下のような横断幕を掲げ、KFAを叱責していた。
「責任者辞退、サッカー協会刷新要求」
「家族のようなサッカー協会」
「大田ファンを2度殺したサッカー協会も八百長仲間」
試合中には「しっかりしろ、協会!」と叫ぶ声も聞こえた。アウェイのFCソウルサポーターも、「消えたガンも再び見るKFA」「高くなった目線?井の中のサッカー協会」「誰かの夢が、八百長犯にはプレゼントとして」などと書かれた横断幕を掲げ、強く抗議した。
他会場でも同様の光景が見られた。2日、水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングス対江原(カンウォン)FCが行われた水原ワールドカップ競技場では、江原FCサポーターが「赦免対象100人名簿公開」という横断幕を掲げ、やはり「しっかりしろ、協会!」と叫んでいた。
プロサッカー界はKFAの八百長犯赦免の試みに憤慨している。
そもそも、Kリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟は赦免に反対する意思をはじめから明らかにしていた。また、KFA理事会メンバーには連盟事務総長も含まれているだけに、KFAの赦免決定が韓国サッカー界に大きな波紋を呼びかねないと憂慮、予告していた。
それでも、KFAは無理に赦免を進めた結果、逆風に吹かれることになってしまった。サッカーファンはもちろん、一般大衆、さらには政界でもKFAの決定を非難する事態が起きた。史上最大級の“空振り”と言える。
とはいえ、今回の事件は偶然のことではない。KFAは近年、韓国サッカー界のなかでもそっぽを向かれてきた。
その最も大きな理由が、まさに“共感能力喪失”だ。
KFAは韓国サッカー全般の流れを担当する組織だ。A代表だけではなく、プロ、アマチュア、ユースなどサッカーの全領域を担っている。
ところが、近年のKFAは各分野の苦痛や困難を無視して“我が道”を歩もうとしているその代表的な例が大学サッカー界との葛藤であり、そのほかにもさまざまな利害関係を調整できず、各方面から非難を浴びている。
大部分の物事が、KFAの共感できない態度から始まる。無責任に「どうしようもない」というのが基本パターンだ。利害関係者や被害者の立場を考えてないため、すべての意思決定で配慮が欠けている。
今回の事件も同様だ。KFAは被害者であるプロサッカーの立場をまったく考慮せず、自分たちの“家族”をかばうことだけに没頭した結果、決定を下すことで直面する非難の世論をまったく予想することができなかった。
プロサッカー界は今も八百長の痛みを忘れていない。決して少なくないファンの心の片隅に、当時の傷が残っている。
しかし、2018年には現役選手が引退選手から八百長の提案を受けたことを連盟に申告したことがあったほか、わずか3年前の2020年にも八百長疑惑の人物が出てきた。
プロサッカーは今も絶対的な八百長の安全地帯とは言えない。全員が理解しているはずの話を、KFAだけが理解していない。
ただ、これはKFAのチョン・モンギュ会長に限った問題ではない。ほかの役員の役割も疑わざるを得ない。
現在、蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)を率いるホン・ミョンボ監督が過去にKFAの専務理事を務めていた間も、サッカー界はさまざまな葛藤のなかで事態を収拾するパターンを繰り返してきた。
当時、ホン監督は葛藤が発生した場合、直接意見を聴取し、格差を縮めようとする態度でサッカー界の民心をなだめてきた。問題を直ちに解決できなくても、現場の声を最大限反映しようとする努力を通じて、葛藤を最小化した。当時も今も会長は同じ人物だ。
KFAが思い出さなければならないのは、まさにこの“共感の領域”だ。サッカー界の最上位組織であるはずのKFAが、配慮や共感なしに仕事を処理した場合、どうなってしまうのかが今回明らかになった。チョン会長はもとより、ほかの役員たちも反省しなければならない部分だ。
サッカー界に限らず、今の社会はリーダーたちに“共感能力”を求めている。時代の精神に背を向ける組織は、決して大衆の支持を得ることができないだろう。
(構成=ピッチコミュニケーションズ)
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