韓国でも大谷翔平（28、ロサンゼルス・エンゼルス）ブームが巻き起こっている。
野球界世界最高のスターとして君臨している彼のことは、韓国のみならず、どの国も羨ましく思わざるを得ない選手だ。
だが、一度落ち着こう。違った見方をする必要もある。大谷は100年に一人、生まれるか生まれないかの超特級クラスであることから、目標になっては困るという点だ。
むしろもう一方を見なければならない。それは“チームバランス”だ。
大谷はNPBで最上の活躍を見せ、アメリカに渡ると、メジャーさえも飲み込んだ。それも「二刀流」でだ。
2021シーズンは打者として155試合、打率0.257、46本塁打、100打点、OPS0.964をマークし、投手としては23試合130.1イニング、9勝2敗、156奪三振、防御率3.18を記録。満場一致でのア・リーグMVPに輝いた。
続く2022シーズンにも二刀流で爆発。打者として157試合、打率0.273、34本塁打、95打点、OPS0.875を記録し、投手としては28試合166イニング、15勝9敗、219奪三振、防御率2.33を記録している。打者としての記録はやや落ちたが、投手の成績ははるかに良い。
また同シーズンは、初のシーズン30本塁打・200奪三振を記録した選手として歴史に名を刻んでいる。1918年のベーブ・ルース（13勝、11本塁打）に続き、104年ぶりに1シーズンで10勝、10本塁打の記録を作った。
そして迎えた2023年WBC。大谷は期待通り、いや期待以上の活躍を見せてくれた。
打者として7試合すべて出場し、打率0.455、1本塁打、8打点、10四球、OPS1.345を記録。投手としては3試合（2先発）9.2イニング、2勝無敗、11奪三振、防御率1.86だ。アメリカとの決勝では3-2でリードしていた9回表に登板し、自らの手で優勝を決定づけた。大会MVPに異論を唱える者はいないだろう。
まず、193cm、95kgというフィジカルが規格外だ。投手と打者を兼業しているだけでも驚きだが、どちらもうまい。
こんな選手はどこにもいない。アメリカ、日本、中南米など、多くの天才プレーヤーを輩出してきた国にもこのような選手はいなかったし、今後、再び出るかも疑問だ。
結局、大谷は“論外”に置くべきだという結論に落ち着くのではないだろうか。
そのため、ほかの選手たちを見なければならない。日本代表の場合、大谷がトップスターだったが、大谷だけが戦っていたわけではない。
投手陣では、大谷よりも速い球を投げる佐々木朗希（21、千葉ロッテマリーンズ）や、日本球界を代表する山本由伸（24、オリックス・バファローズ）、豪速球左腕の今永昇太（29、横浜DeNAベイスターズ）がいた。ほかにも大勢（23、読売ジャイアンツ）、髙橋宏斗（20、中日ドラゴンズ）と粒ぞろいだ。
打者陣も大谷に次ぐ選手が多かった。打率0.409、2本塁打、13打点と結果を残した吉田正尚（29、ボストン・レッドソックス）、ここぞという場面でバットが火を噴いた村上宗隆（23、東京ヤクルトスワローズ）、巨人の4番・岡本和真（26、読売ジャイアンツ）、50億円（7年総額）打者・近藤健介（29、福岡ソフトバンクホークス）と隙がない。
投手であれ打者であれ、大谷に匹敵する水準の選手たちが代表として集結したわけだ。むしろ他の代表選手のレベルが高く、大谷が悪目立ちすることもない。秀でた才能があればそちらに重きが置かれるものだが、そのようなことは一切なかった。
だが、韓国にも「大谷のような選手が出なければならない」ということではない。
規格外の出現を期待するよりは、リーグ最高とされる選手たちの“底上げ”が先だ。大谷が凄まじいのは事実だが、それが全てではない。
（構成＝ピッチコミュニケーションズ）
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