アジア2次予選に臨む韓国代表メンバーは、“現実”と“哲学”を得るベント監督の決意だ

サッカー韓国代表を率いるパウロ・ベント監督が9月に選択した2つの顔で、“現実”と“哲学”の2兎を得る。

ベント監督は、選手の起用において“保守的”という評価を受けてきた指導者だ。

2018年8月に代表監督に就任して以来、ロシアW杯のメンバーをチームの主軸にするなど、安定志向で選手団を構成した。ジャカルタ・アジア大会出場選手の何人かが追加で招集されただけで、新しいリソースをサプライズ抜擢することも珍しかった。自分が求めるサッカーにふさわしい選手を選抜するという哲学に基づいて、成績表とは無関係に見える起用もいとわなかった。

しかし今回の代表招集メンバーは就任以来、最も大きな変化を断行したといえる。キム・シンウク(上海申花)とイ・ガンイン(バレンシア)を同時に呼んだ。

8月26日、アジア2次予選に臨む韓国代表メンバーを発表したパウロ・ベント監督

代表チームと所属チームの両方で、2人の境遇は正反対といえる。

ベテランFWのキム・シンウクは、ベント監督がこれまで一度も最終リストに載せなかった選手だ。196cmの長身ストライカーとしてヘディングはもちろん、足技にも長けるという評価を受けており、今季前半までKリーグの得点王争いを繰り広げたが、6月の代表招集の際にも彼の名前はなかった。

過去、W杯アジア予選や全北現代所属で臨んだアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で見せた活躍を踏まえると、「アジアでは通用する」という判断が合理的であるが、それでもベント・コリアの不動のワントップはファン・ウィジョ(ボルドー)だった。

そんな現実のなかで中国進出を果たしたキム・シンウクは、スーパーリーグに進出すると、6試合で8ゴール4アシストを記録しながら爆発した。試合を重ねるごとに自分へのマークが集中すると、相手DFを集めてスペースを作り、アシストまで記録する老練さを見せつけた。

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2022年カタールW杯アジア2次予選を控えた司令塔にとって、キム・シンウクは現実的な選択肢であると解釈できる。

ベント監督は8月26日、ソウル鍾路区のサッカー会館で「キム・シンウクは今までの私たちのFWとは異なるタイプであることが明らかだ。すぐに代表チームは、カタールW杯のスケジュールを開始する。次の段階に本格的に突入する時期だ。9月の代表チームのスケジュールに、キム・シンウクを選抜するのが適期だと判断した」と、招集理由を明らかにした。

(写真=上海申花Weibo)7月27日の広州富力戦でハットトリックを決めたキム・シンウク

一方、イ・ガンインはまだ18歳の有望株に過ぎない。

U-20ワールドカップでゴールデンボール(大会MVP)を受賞して高い能力を証明したが、世代別代表で収めた成果だけに、それをA代表でそのまま受け止めるのは無理がある。もちろん3月にも代表に招集され、すでに可能性は認められており、ベント監督自身も6月の本紙『スポーツソウル』との独占インタビューで、9月のアジア予選からソン・フンミンとの共存の可能性について肯定したりしている。

しかし所属チームであるバレンシアでは、厚い選手層のなかで出場機会を得ていない。今夏の移籍市場を通じて突破口を探そうとしていたが、最終的には残留となりそうだ。バレンシアを率いるマルセリーノ・ガルシア監督の性向上、今後も試合出場は難しいと予想される。

ベント監督はイ・ガンインを招集した背景を説明する前に、「昨年の就任時、所属チームでの出場時間が少ない場合でも、能力が良く技量が優れていると判断すれば、抜擢するという話をしたことがある」と、自分の哲学を再度強調した。

続いて「能力があり、技術力に優れた選手だ。所属チームで活躍するポジション以外にも、他の場所を消化する能力があるのか、必要に応じて点検する予定だ。代表チームでイ・ガンインをどのように活用するか、考えなければならない。どんな良い姿に成長することができるか、着実に観察する」と付け加えた。

(写真提供=韓国サッカー協会)U-20ワールドカップでゴールデンボールを受賞したイ・ガンイン

キム・シンウクの招集がベント・コリアの“現実”であれば、イ・ガンインの選抜は韓国代表の“哲学”と“未来”だ。

今回招集された26人は、来る9月1日に坡州サッカー国家代表トレーニングセンター(NFC)に集合し、9月5日、トルコのイスタンブールでジョージアと親善試合を行う。続いて9月10日にトルクメニスタンとカタールW杯アジア2次予選・第1戦の遠征試合を消化する。

レバノン、北朝鮮、トルクメニスタン、スリランカと同じグループHに入った韓国は、今年中にスリランカ(10月10日・ホーム)、北朝鮮(10月15日・アウェー)、レバノン(11月14日・アウェー)と対戦する予定だ。

ベント監督は「ワールドカップ予選はどの大陸でも重要で意味を持つが、アジア予選は特に変数が多い。親善試合を通じてよく確認し、代表チームの最良の組み合わせを見つける」と覚悟した。

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