聴覚障害を持つテニス選手イ・ドクヒ(21)が感動の勝利の後、心に響くメッセージを残した。
イ・ドクヒは8月19日(現地時間)、米ノースカロライナ州で開かれたATPツアー「ウィンストン・セーラム・オープン」(賞金総額71万70955ドル)のシングルス本戦1回戦で、ヘンリー・ラクソネン(120位、スイス)を2-0で下して2回戦進出を果たした。
聴覚障害3級のイ・ドクヒは、ATPツアー大会シングルス本戦で勝利した最初の聴覚障害を持つ選手となった。1972年の男子プロテニス(ATP)の創設以来、初の快挙だ。
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ATPツアーのホームページに掲載されたインタビューによると、イ・ドクヒは「今日勝つと思っていなかったが、集中力を失うことなく、最後まで最善を尽くして良い結果が出た」と感想を話した。
続いて「一部の人々が僕の障害をあざ笑ったり、良い選手になることはできないと話したりした。でも家族や友人など周りの人の助けを借りて、困難を乗り越えることができた」とし、「聴覚障害のある方に伝えたい言葉は、挫折しないでということ。一生懸命に努力すれば何でもできる」と意味深いメッセージを残した。
スポーツの世界で障害を持つ選手が健常者と競争することは、容易な挑戦ではない。テニスでは、1895~1908年にウィンブルドン選手権の女子シングルスで5度の優勝を果たしたシャーロット・クーパー(イギリス)が、聴覚障害を持つ選手として知られている。
しかし当時のウィンブルドンは出場選手が10人余りで、その後に障害を持つ選手が国際大会で頭角を現したことがないという点で、イ・ドクヒの勝利は意味が大きい。AFP通信やロイター通信など世界的な報道機関も、イ・ドクヒの勝利のニュースを伝えた。
世界的にもイ・ドクヒの活躍は、大きな関心を集めている。
イ・ドクヒは「ボールコート、ラケットに当たる音、審判のコールを聞くことができないので、ボールの動きにより集中し、相手身振りなどを通じて状況を把握しなければならない」という困難を打ち明けた。
イ・ドクヒは2018年のジャカルタ・アジア大会で、男子シングルス銅メダルを獲得した。韓国人選手としては、2006年ドーハ大会のイ・ヒョンテク以来、12年ぶりのアジア大会テニス男子シングルスのメダリストになった。
今回のATPツアーも真夏に行われているが、イ・ドクヒは「暑い天気が好きだ」と大会に臨む自信を表明した。
2回戦では、世界ランキング41位のホベルト・ホルカシュ(ポーランド)と対戦する。イ・ドクヒは「アメリカは環境や施設が立派で、食べ物も美味しい」とし、「2回戦も今日のように最善を尽くしてみる」と覚悟を明らかにした。
ATPツアーは、「この日のインタビューは、英語を韓国語に通訳し、その質問を婚約者に伝え、彼女の口の形を見てイ・ドクヒが質問を把握する形式で進行された」と説明した。
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