かつてこれほどの外国人選手がいただろうか。昨季も優れた活躍を見せていたが、今季はそれをさらに上回っている。もはやMVPまで狙えるペースであり、10年ぶりにポストシーズン進出球団以外からMVPが登場する可能性が出てきた。
2020年に広島東洋カープでプレーし、現在は韓国プロ野球KBOリーグのサムスン・ライオンズに在籍するホセ・ピレラ(32)がその人だ。
ピレラは今シーズン、111試合に出場して438打数152安打、打率0.347、23本塁打、87打点、83得点、出塁率0.421、長打率0.598、OPS(出塁率+長打率)0.989を記録している。
安打、打率、得点、出塁率、長打率の5部門で全体トップだ。そのほか、本塁打では全体2位、打点では全体3位に位置している。
盗塁を除いた打撃面の全部門でトップ3に名を連ねている。もっとも、盗塁数も12個で全体17位タイと決して劣っている数値ではない。
表彰からは外れる記録ではあるが、塁打数やOPSでも1位だ。元中日ドラゴンズのイ・ジョンボムを父親に持つイ・ジョンフ(24、キウム・ヒーローズ)とともに、打撃面すべてをハイレベルにこなす“万能型”の選手として注目を浴びている。
広島を離れ韓国プロ野球に初参戦した昨季も結果を残した。140試合に出場して553打数158安打、打率0.286、29本塁打、97打点、OPS 0.854を記録した。ただ、シーズン後半には足底筋膜炎の影響もあり、最後まで100%のパフォーマンスを発揮することができなかった。
そのため、サムスンが2022年もピレラと再契約した際には憂慮の声もあった。だが、現在までピレラは元気にフルシーズンを戦っている。負傷部位の状態も良好だ。周囲の心配も杞憂で終わるものと見られている。
今や関心事は「ピレラがMVPに選ばれるかどうか」にある。
何せ打撃面の8部門のうち5部門で1位だ。本塁打では32本で1位のパク・ビョンホ(36、KTウィズ)と9本差をつけられているため、首位逆転は容易ではない。ただ、打点では90本で1位のキム・ヒョンス(34、LGツインズ)とわずかに3点差。今後の活躍次第ではピレラの6部門席巻もあり得る。
現在のパフォーマンスを最後まで維持できれば、MVPを受賞できる可能性は十分にある。これまでは“外国人選手”という点で見えないハンディキャップがあったが、今はそのようなものは存在しない。
何より、直近では3年連続で外国人選手がMVPに選ばれている。2019年はジョシュ・リンドブロム(35)、2020年はメル・ロハス・ジュニア(32)、2021年はアリエル・ミランダ(33)だった。今回、ピレラが“4年連続”に数字を伸ばせるかが注目されている。
懸念はピレラ本人以外の部分にある。それがまさにチームの成績だ。
サムスンは現在、10球団中9位と下位に低迷している。MVP選定において、チームの結果もある程度考慮される傾向がある。もちろん、現在のピレラのペースは圧巻であるため、例えチームが下位に沈んでいたとしても、ある程度相殺される可能性はあると見られている。
歴代の韓国プロ野球において、ポストシーズン脱落チームからMVPが出たのは3度しかなかった。1983年のイ・マンス、2005年のソン・ミンハン、2012年のパク・ビョンホだけだ。彼らはいずれも当該シーズンに目立った活躍を見せてMVPに選ばれた。
今季はピレラが同じ道を歩むことができるだろうか。史上初の挑戦ならまだしも、すでに前例がある挑戦なだけに、その可能性を信じて見るのもよさそうだ。
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