2021シーズンのKリーグ1(1部)で最も優れていたといっても過言ではない活躍を披露した。済州(チェジュ)ユナイテッドの韓国人FWチュ・ミンギュ(31)のことだ。
今季Kリーグ最高のストライカーを挙げるならば、ほとんどの人がチュ・ミンギュの名を口にするだろう。彼は今シーズン、リーグ戦34試合で22ゴール1アシストを記録し、2016年のチョン・ジョグク(37、引退)以来5年ぶりとなる韓国人選手の得点王に輝いたのだ。
チュ・ミンギュはこれまで一度も韓国代表に選ばれたことがないが、Kリーグ1部において代表歴のない選手が得点王に選ばれたのは彼が史上初。シーズン中にはKリーグ通算100ゴールの大台も達成し、年間ベストイレブンにも選ばれ個人2冠を達成した。
「何が何だかわからない。シーズン中は大変な時期もあったが、ケガなく無事に1年を終えて気分がいい」。キャリアハイのシーズンを振り返り、チュ・ミンギュはこう語る。
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チュ・ミンギュのプロデビューは2013年。当時、大学卒業後に一度はKリーグドラフトで指名を外れるも、ドラフト外の“番外指名”で2部の高陽(コヤン)Hi FC(現在は解散)に入団。
2015年からは新設クラブのソウルイーランドFCに加入し、元日本代表FWカレン・ロバート(36)ともプレーすると、同年はリーグ戦40試合23ゴール7アシストで得点ランキング2位に上がる活躍を見せた。
その後は兵役義務遂行のため、国軍体育部隊傘下のサッカーチームである尚州尚武(サンジュ・サンム、現・金泉尚武)でプレーした後、2019年に蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)に移籍。浦和レッズと対戦したアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦では、埼玉スタジアム2002で行われた第1戦でゴールも決めている。そして、2020年から現在の済州でプレーを続けている。
Kリーグで韓国人FWが生き残るのは簡単なことではない。実際、シーズン序盤には南アフリカ人FWラルス・フェルトワイク(30、水原FC)、ロシア人FWスタニスラフ・イリュチェンコ(31、全北現代モータース)、ブラジル人FWグスタヴォ(27、全北現代モータース)、セルビア人FWフェイサル・ムリッチ(27、城南FC)といった外国人選手が得点王候補に取り上げられていた。
それでも、チュ・ミンギュは着実にゴールを重ねて得点王争いを勝ち抜いた。得点ランキングのトップ5を見ると、22ゴールで1位のチュ・ミンギュに続き、2位がフェルトワイク(18ゴール)、3位がグスタヴォとイリュチェンコ(15ゴール)、5位がムリッチ(13ゴール)と外国人選手が名を連ねていた。
「実際のところ、最初は期待もしていなかった」と明かしたチュ・ミンギュは、「得点王になれたのは、自分の能力ではなくチームメイトの能力のおかげだ。フェルトワイクがあまりに上手くて緊張してしまったが、水原FC戦でKリーグ通算100ゴール目を決めたときに、(自分が)得点王になれると思った」と、熾烈を極めた得点王レースを振り返った。
チュ・ミンギュは得点力以外にリーダーシップも光った。2020シーズンからキャプテンを務めたMFイ・チャンミン(27)が、今季途中にプレッシャーとチームの不振によってキャプテンを辞退したことで、チュ・ミンギュが7月末からキャプテンマークを巻くようになった。
当時、チュ・ミンギュはナム・ギイル監督のもとを訪れ、「断固として(キャプテンを)やらない」、「選手全体を包容できるような器じゃない」と伝えたという。それでも、「監督が“本人が責任を負う”と言ってくれたから、信じて(キャプテンを)務めることにした」とし、「試合で負けたらすべて自分のせいだと思う。自分はキャプテンマークを巻いただけで何もしていない。キャプテンとしては0点だったと思う。来年は新しいキャプテンをたくさん助けようと思う」と笑顔を見せた。
済州はリーグ最終節で全北現代に0-2で敗れた。チュ・ミンギュは、Kリーグ5連覇を達成した全北現代が歓喜に沸く様子を目の前で見ていた。「全北現代の優勝を祝ったが、悲しくもあった。自分たちもあのように優勝パーティをしてみたいと思った」とし、「ナム・ギイル監督のサッカーの色が済州にある程度慣れてきたと思う。来年は頂点に挑戦できるだろう。チームの雰囲気がとても良い。倒れても起き上がれる力がついた」と、来季のリーグ優勝挑戦を宣言した。
今季Kリーグを4位で終えた済州だが、まだ来季アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場の可能性を残している。本日(11日)行われるFAカップ決勝の大邱(テグ)FC対全南(チョンナム)ドラゴンズで、大邱FCが優勝すれば、繰り上がりで済州がACLプレーオフ出場権を獲得することになる。
「自分だけでなくすべての選手にとってACL出場は切実だ。だから大邱FCを応援したい」と笑ったチュ・ミンギュは、「Kリーグがアジアで最高のリーグだと思う。個人的には、Kリーグで得点王になれたから、今度はACLでも得点王にチャレンジしてみたい」と力を込めた。
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