たった一週間で2つのトロフィーが手からこぼれ落ちた。
蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)は10月27日、ホームの蔚山文殊サッカー競技場で行われたFAカップ準決勝で全南(チョンナム)ドラゴンズに1-2で敗れた。2部相手に苦戦を強いられた蔚山現代は決勝進出に失敗した。
衝撃的な敗北だ。相手は蔚山現代と比べて戦力が劣る。1部と2部の差があるのはもちろん、選手構成や客観的な技量を見ても、すべて蔚山現代が上回っていることは事実である。
しかし、蔚山現代は全南の堅い守備を最後まで破れなかった。結局、セットプレーから先制を許すと追加点まで浴びた。ジョージア代表MFヴァレリ・カザイシュヴィリ(28)のPKで1点を返すのがやっとだった。
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弱いチームが格上に勝利するときによくあるPK戦までもつれる展開でもなかったという点で、蔚山現代を襲う“後遺症”が予想以上に大きいことがわかる。
FAカップ準決勝敗退が痛い理由は、去る20日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝で浦項(ポハン)スティーラースにPK戦で敗れたためだ。これら2大会にKリーグ1(1部)も合わせて“3冠”を目指していた蔚山現代だったが、残りのシーズンはリーグ戦でのみトロフィーを目指すしかなくなった。
もはやKリーグ1優勝は蔚山現代にとって切実だ。ACLかFAカップのどちらか1つでも優勝できれば、例えリーグ戦で優勝を逃しても慰めになった。しかし、今はその2大会どちらからも去ってしまった。蔚山現代としては想像したくない最悪のシナリオだ。
チームには不安感が重くのしかかっているように見える。
蔚山現代は直近1週間に行われた3試合で1分2敗を喫した。浦項戦はPK戦で敗れたため引き分け扱いだ。
直近では24日のリーグ戦で下位の城南(ソンナム)FCに敗れた。これで首位の座を全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースに明け渡した。勝ち点では同率であり、総得点数の差で順位が分かれただけではあるが、微妙な気流の変化は蔚山現代にとって良いものではない。
一時的な不振だとしても、今は1年近く戦ったシーズンを総括する“収穫”の時期だ。1~2試合の結果次第でも勝負は決まる。最も重要なときに結果を出せなければそれまでの成果と努力は泡になる。よりによって、そのような時期に蔚山現代は苦しんでいる。
問題は体力面だ。今シーズンの蔚山現代はFIFAクラブワールドカップを皮切りに国内のKリーグ1とFAカップ、国際大会のACLを並行した。韓国代表にも多くの選手を派遣しており、チームマネジメントに苦労している状態だ。不運なことに、代表でケガをして戻ってくる選手も多かった。
体力的にもシーズンで最も疲労がたまる時期に入っただけに、残りの期間をどう乗り切るかが重要なポイントだ。
直近に迫る11月も危機の時期だ。というのも、韓国代表の2022年カタールW杯アジア最終予選2試合が迫っており、国内でのホームゲームと中立地でのアウェーゲームを戦う過密日程となっている。
代表を率いるパウロ・ベント監督が蔚山現代からどれだけ多くの選手を招集するかが関心事の一つだ。
蔚山現代の立場としては、チームから派遣する選手が最小限となることを期待するしかない。選手としては代表に選ばれることは光栄であり、プラスなことではあるが、今回ばかりは“悪材料”と表現してしまってもおかしくない。
蔚山現代は次戦、10月31日にホームで水原(スウォン)FCと対戦する予定だ。
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