「欧州にいる友人には笑われ、父には怒られたよ…本当にごめん!」
海外のトピックに挙げられるほどの“呆れた退場劇”で、韓国国内はもちろん世界中の関心を集めた身長203cmのセルビア人FWフェイサル・ムリッチ(26、城南FC)は、未だにあっけにとられた様子だ。
Kリーグ史上最長身選手であるムリッチは4月13日、本紙『スポーツソウル』とのインタビューに応じ、「(試合直後に)数えきれないほど(退場させられたときの)映像を見た。見るたびに違った気分だったが、自分でも呆れて笑ってしまい、チームメイトに申し訳ない気持ちが交差した」と語った。
ムリッチは10日にホームで行われたKリーグ1(1部)第9節光州(クァンジュ)FC戦で2ゴールの活躍を披露し、チームを2-0の完勝に導いた。
しかし、2点目を決めた後半9分に致命的なミスを犯した。ムリッチは得点直後、嬉しさのあまりユニホームを脱いでゴール裏に向かったのだが、異変に気付いたのか当惑した表情を見せ、ガックリとうなだれてしまったのだ。
というのも、ムリッチはすでに1枚イエローカードをもらっていたからだ。規定上、選手は試合中にピッチ上でユニホームを脱ぐと警告を受ける。
ムリッチの行動に主審も思わず笑みを浮かべ、2枚目のイエローカードとともにレッドカードを提示した。ムリッチは苦笑いを浮かべ、脱いだユニホームに顔をうずめピッチを後にした。
このシーンは韓国だけでなく、スペインやイングランドなど欧州ビッグリーグを抱える主要国のメディアでも話題になった。ムリッチと城南(ソンナム)FCは、思いがけず世界にその名を広めることになったのだ。
ムリッチ自身、試合後に多くの反響があったと語る。
「欧州にいる多くの友人から連絡が来たよ。みんな笑っていたね。特に、退場する前の僕の表情をキャプチャーして送り、僕をからかった」
「祖国にいる父からも連絡が来たけど、少し怒られた。“いくら嬉しかったと言っても、チームに迷惑をかけてどうするんだ”と。実際、僕はユニホームを脱いだ直後に退場のことに気づいたから、どうすることもできなかった」
当時、ユニホームを脱いだムリッチに真っ先に走り寄ってきたのはチームメイトのルーマニア人FWセルジュ・ブシュ(28)だった。
ムリッチは「ブシュからは“ブロ、君はおかしくなったのか?すでにイエローカードをもらっているじゃないか”と言われた」と振り返った。
ムリッチは今もチームメイトに謝罪をしている。何より、残りの選手はムリッチが退場して数的不利になっても無失点を貫き、2-0の勝利を完成させた。ムリッチは「これからは絶対にユニホームを脱がない」と、チームメイトに改めて感謝した。
退場のシーンばかりが浮き彫りになっているが、光州FC戦での2ゴールはムリッチの価値を引き立たせるのに十分な材料だった。ムリッチ自身、「大半の人が僕を典型的なターゲットマント考えているが、元々スピードやドリブルに自信があった」と強調する。
Kリーグに参戦する以前まで、ムリッチはドイツやイスラエル、ボスニア・ヘルツェゴビナのリーグを経験した。その当時も、ヘディングによる得点よりもスピードやテクニックを駆使した得点の方が多かったという。
思わぬ形でその名を知らせることになったムリッチは、今回の退場劇をKリーグの舞台で飛躍するきっかけにすることを誓った。
ムリッチは「Kリーグはこれまでプレーしたことのあるリーグの中で最も攻撃的なスタイルだ。テンポや攻守の切り替えなどどれも速い」とし、「特にDFの粘り強い守備が印象深かった。練習のたびにこうした点に備えている」と語った。
最後に、今シーズンの目標については「何ゴールを決めるかより、チームの勝利に貢献することが重要だ。そうすれば結果(ゴール)は自然とついてくるだろう」と強調した。
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