韓国Kリーグ2(2部)の安山(アンサン)グリナースは3月31日、カン・スイル(33)の獲得を発表した。
1987年7月生まれのカン・スイルは、アフリカ系アメリカ人の父と韓国人の母を持つ身長184センチのストライカー。2007年に仁川(インチョン)ユナイテッドでプロデビューすると、翌2008年には2軍リーグでMVPを獲得し、チーム内で頭角を現した。
2011シーズンから加入した済州(チェジュ)ユナイテッドでも活躍をつづけ、2014シーズンにはレンタル移籍で浦項(ポハン)スティーラースでもプレー。翌2015シーズンは済州に復帰した。カン・スイルは2015シーズンまでKリーグで185試合に出場し、27ゴール14アシストを記録した。
ところが2015年6月、カン・スイルは初の韓国代表合宿中にドーピングテストで禁止薬物のメチルテストステロンが検出され、代表を辞退。さらには同年8月、飲酒運転で交通事故を起こすと、「友人が運転をしていた」と嘘の供述をしていたことが明らかになった。
こうした相次ぐ不祥事に、韓国国内のファンやメディアからは非難が殺到。これを受けて済州はカン・スイルに“任意脱退”処分を下した。
“任意脱退”処分が下された選手は公式戦に出場できないどころか年俸ももらえず、国内の他クラブと契約することもできない。そのため、カン・スイルはKリーグから姿を消すこととなった。
その後、カン・スイルは2017年5月にJ2リーグのザスパクサツ群馬に加入。22試合に出場し、チーム最多の10得点をマークした。
以降はタイリーグのラーチャブリーで2年間過ごした後、2019年には東京ヴェルディで1シーズンプレー。2020年1月にはタイのトラートFCに移籍していたが、同年7月に契約を解除しフリーとなった。
そして今回、済州が下した“任意脱退”処分が解除されたことで、カン・スイルはKリーグ復帰を模索していた。
安山の関係者は「カン・スイルは自粛している間、罪を償う気持ちで多文化家庭や恵まれない子どもたちを助けながら、長い間ボランティア活動をしてきた」とし、「社会的に物議をかもした後、“運動で報いる”と言いながら適当に過ごした選手たちとは違うと感じた。本人も深く反省している姿を見せていたので、彼を信じて獲得を進めた」と、カン・スイル獲得の背景を明かした。
カン・スイルは「自分の過ちで失望したサッカーファンに申し訳ない気持ちが大きい」とし、「私を信じて手を差し伸べてくれた安山に感謝する。安山で本当に最後だと思って最善を尽くしてプレーし、“第2のカン・スイル”が現れないよう後輩の助けになる先輩になりたい」と意気込みを語った。
続けて、「試合も重要だが、多文化児童のための奉仕とクラブの社会貢献活動にも積極的に参加し、安山で奉仕する選手に生まれ変わる」と誓った。
なお、安山には元群馬のMF磐瀬剛(25)が所属している。ただ、群馬在籍期間は2019年夏から2020年までであったため、カン・スイルとはともにプレーしていない。今シーズンのKリーグ2はここまで3試合に出場。プレータイムは142分となっている。
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