デンソーカップ、「サッカーの思考で勝負するしかない」と東海選抜・澤登正朗監督

2021年03月04日 サッカー #玉昌浩

3月4日、「第35回デンソーカップチャレンジサッカー熊谷大会」、東海選抜と関東C・北信越選抜の試合が行われた。試合は関東C・北信越選抜が5-1で勝利を収めた。

試合後、東海選抜・澤登正朗監督は「完敗」と話した。

戦術的に3バックを選択したことについては、「相手が4-4-2で来るだろうという状況のなかで、ファーストラインのところを3枚で3対2にする。ボランチが落ちて3対2にするのもいいのだが、最初から3-2の状況を作れる3枚でやろうという発想になった。もちろん準備はしていなかった。奇襲攻撃というか、そういうものも考えながらやらないと、関東とは正面同士でぶつかってもなかなか勝てない。そうせざるを得ない状況であった」と説明した。

試合を振り返り、「立ち上がりのところで、2失点してしまったことが大きかった。ただ、そのなかでもカウンターで何回かチャンスがあったが、決めきれるかどうかというところだった。結果的に5-1という状況のなかで、何が大きな問題だったのかというと、最後のクオリティーの差。うちは多くのチャンスを作っていても決めきれない。向こうはそういうチャンスを確実にものにしていく。関東の子と地方の子の差を感じた」と総括した。

「ただ、ゲームをどう攻略していくか、選手も意図しながらプレーしてくれたことは、非常に良かったと思うし、それをトライしながら、いい部分もたくさん出た。もちろん、3バックの脇を突かれての失点だとか、最後の5失点目はいらなかったが、戦術理解度はだいぶ高くなってきた」と評価した。

関東との差を埋めるには、「技術の部分はもちろんだが、サッカーをどう攻略するか。サッカーの思考で勝負するしかない。関東の子たちは、まだまだ感覚でやっている子が絶対的にいる。それをどう攻略するかは、思考で勝負するしかない。ポジショニングであったり、相手がどう来ているのか、どういうシステムなのか、いろんな部分を見ながら、自分たちで判断して決断し、実行するということができれば、十分やれるのではないか。そこの差はそれで埋まる」とし、「もちろん、最後の局面は絶対に個だが、組織としてどう戦うのかという部分では、理解度が高い子が多い。今日のゲームも、そんなに点差が離れるほど悪くはなかった」と説明した。

さらに、「東海はどうしても関東、関西、九州と東海という3番手になると思うので、そこをのし上がるための一つの要素は、そういうところにある。あとはハードワークとか球際とかいう部分もあるが、その辺がうまくミックスできれば、十分戦えるんじゃないかと思う」と続けた。

母校の東海大学が#atarimaeni CUPで優勝したことについて、「東海大学出身なのでうれしかった」とし、「チャンスは転がっている。すごく飛び抜けたわけではないが、シンプルにあれをやり続けた結果が、最後ああいう形で優勝している。例えば東海が関東に勝つというのもジャイキリ。そういう状況をものにできるかどうか、一瞬をつかみ取れるかどうかというのが大事な要素だと思う。それを今回も期待はしていたが残念だった。ただサッカーはあくまでもサッカーなので、何が起こるかわからないし、そういうものを目指しながらやっていければと思う」と語った。

最後に、サッカーの思考を高めることの重要性について説いた。

「クラブの子、高体連の子もそういう教わり方をしていない。サッカーの見方を考えさせることによって、プレーの質も変わってくるのではないかというのが我々の指導方法」とし、自身の大学時代と比べ、「サッカーの質自体は間違いなく上がっている。30年前の我々の頃は、ボール持ってから、いろんな判断をするオンザボールが結構多かった。今はオフザボールでどういう形でポジショニングするかというのが、絶対的に重要になってきている。まずそういうところを育てる。それを育成年代のもう少し早い頃から教えていくと、もっと質が上がってくるのではないか。それが世界に通じるための一番の要素なのではないかと思う。代表を強化するということよりは、もっと下の方を強化していかないといけない。例えば、ヨーロッパでは小学生からシステム論をやるが、日本の場合は個人のところしかやらない。こういうシステムは、こうなってこうなって、こうなるんだよというものを教えていくと、もっとその先に行けるのではないかなというのが私の見解。システム論は関係ないといわれるが、システム論は関係ある。そこが変わってくればいいかなと思っている」

(文=玉 昌浩)

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