Kリーグの釜山アイパークが昇格からわずか1年で再び2部へ…“必然の降格”のワケは?

2020年11月04日 サッカー #Kリーグ

釜山アイパークが10月31日に行われたKリーグ最終戦で城南FCに1-2のスコアで逆転負けを喫し、昇格から1年も保たずに降格となった。

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同時刻に行われた試合で、仁川ユナイテッドがFCソウルを1-0で下したため、順位が逆転した。城南が勝ち点28で10位に上がり、仁川が勝ち点27で11位となった。試合前の時点では10位だった釜山は最下位の12位に転落し、2部降格が決定した。

2015年の降格から4年を経て2019年に昇格したが、わずか1年での出戻りとなった。

移籍マーケットでの失敗

降格の最大の原因は、選手獲得の失敗だ。特に得点力アップのために獲得した選手たちが、期待していた役割を果たせなかった。問題は監督とクラブ首脳部(韓国サッカー協会チョン・モンギュ会長がオーナー)の意見が一致しないまま、選手の獲得が行われたということだ。

シーズン開幕前、チョ・ドクチェ監督は昨シーズンにレンタルで釜山に加入し、主軸として活躍したハンガリー人FWノボトニーの完全移籍での獲得を希望したが、移籍金の折り合いがつかず、断念せざるを得なかった。

0ゴールというふがいない成績でシーズンを終えた選手たちは、成績不振の影響で9月に途中退任したチョ監督の意見が反映されていない新規加入選手ばかりだった。監督が希望した選手と、実際に獲得した選手の移籍金に大きな隔たりはなかったが、クラブの意向が強く反映された形だった。

夏のマーケットでも釜山は消極的だった。仁川はチームに必要な選手を適格に補強し、シーズン終盤での逆転劇につなげたが、釜山は夏にも戦力補強をしなかった。チョ監督は既存戦力でチームを作り上げるスタイルを選択したが、結果的には降格し、クラブの誤った判断が直接的な降格の要因だったとも見られる。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)2部降格が決まり悲しみに暮れる釜山アイパークの選手たち

監督の求心力低下

釜山は今シーズン初め、チョ監督と1年間の契約延長を交わした。これについては韓国サッカー界では不審に思う反応が多かった。チョン・モンギュ会長にとってチョ監督は、3年間、誰も成し得なかった念願の1部昇格をやり遂げた人物で、常識的に考えると長期契約延長を結ぶかと思われていた。

契約期間は監督の信頼度や権威をあらわすようなものだ。監督は試合に出場させる選手の選択権はもちろん、契約にも深く関与する。選手たちは監督の契約期間で、リーダーシップの有無を判断する。

しかしクラブの責任者であるチョン会長は、チームが6位と好調を維持していた7月にも契約延長の提案をしなかった。以降、釜山の競技力は低下し、不振に陥った。

チョ監督も自らリーダーシップを提示できず、チームは崩壊していった。チョ監督の力量不足もあったが、正しい判断を下せなかったチョン会長とクラブ首脳部が引き起こした当然の結果だ。

ビジョンなきチーム、選手の心もつなぎ止められず

現実的にいえば、釜山アイパークというチームは、選手たちにとって行きたい、あるいは長く在籍したいと思われるようなチームではない。昨シーズン終了後も何人かの主要プレーヤーは、早目に移籍を考えてクラブと話し合いの場を設けた。この時、クラブが選べる選択肢は2つだ。プレーヤーの価値を認めてチームに残すか、または適正な市場価格で売却することだ。

ところが、釜山はどっちつかずの対応しかしなかった。例として、チームにとって重要なストライカーであるイ・ジョンヒョプの場合、シーズン途中に契約延長交渉を行ったが、結論を出せなかった。イ・ジョンヒョプは今年で契約満了となる韓国代表FWだ。契約が切れ、フリーで移籍されるとなると、代表クラスのFWをタダで他のチームにわたすこととなる。

指針なく行き当たりばったりのアマチュアじみたチーム運営で、選手の心がチームから離れるのは必然だ。その上モチベーションが低下することも目に見えている。チームの雰囲気が悪くなるしかない。

釜山アイパークは、韓国サッカー界の“ボス”であるチョン会長がクラブのトップだが、基本的なクラブ運営能力は他チームよりも劣っているというのが、韓国サッカー界の共通意見だ。

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