元日ハム右腕の動向に韓国メディアも注目している。
ソフトバンクは12月26日、MLBボストン・レッドソックス傘下の3Aウースター・レッドソックスからFAとなった上沢直之投手(30)の入団会見を行った。
ただ、今回の入団の大きな波紋を呼んでいる。
ポスティングシステムを利用して、わずか90万円ほどの譲渡金を置き土産に、日ハムからアメリカ挑戦を表明した上沢。快く送り出した日ハムには戻らなかっただけではなく、たった1年で帰国した点、帰国後に古巣の施設を使用していたにも関わらず出て行った点など、日ハムファンが激怒する動きを見せてきた。
もちろん、ルール上は問題ないのだが、「FAの抜け道を利用した」と賛否両論が噴出。今回のケースが悪しき前例となり、各球団がポスティングに慎重になるのではという声も少なくない。
このような波紋を呼んだ上沢の移籍には、お隣・韓国も注目。
本サイト提携メディア『OSEN』は、去る12月中旬に「屈辱の譲渡金900万ウォン…日本最悪のポスティングで剥製された上沢のML挑戦記」というタイトルの記事を公開。ここで使用されている「剥製」とは韓国のネット用語で、事件・騒動などに関わった人物に恥をかかせるために、ネットに載せて保存することを指す。
記事内では、これまで日本球界からアメリカに渡った選手たちの移籍金を紹介している。「アメリカと日本の本格的な選手交流は21世紀に入って始まった。2000年、シアトルに移籍したイチローが初めてポスティング金額1000万ドルを越えた。正確には1312万5000ドルだった」とし、「その後、特級選手の獲得には巨額の移籍料が基本となった。メジャーのチームが“高すぎる”という不満を吐き出し、球団よりは選手に回る比重を高めようという名分で協定は改正を繰り返した。それでも1000万ドルを超える事例は頻繁に発生した。これまで13回もある」説明。
続いて「5000万ドル以上の取引も登場した。2006年の松坂大輔(5111万1111ドル11セント)、2011年のダルビッシュ有(5170万3411ドル)が記録を更新した。そして昨年は、山本由伸(5062万5000ドル)が3番目の主人公になった」とも伝えている。
同メディアは歴代選手と上沢の金額を比較した上で、「もちろん、選手本人の挑戦精神と、これを許した日本ハム球団の大乗的な決断は尊重されて当然だ」としつつも、「しかし、ポスティング金額6250ドルは過去最大級の屈辱だ。これまで成立した数十件の契約では類例がないほどだ。いや、似たり寄ったりの水準さえない」としている。
そして、「1万ドルももらえなかったのは、上沢のケースが唯一だ。これは当然、韓国ではムリな金額だ」として、2002年にチン・ピルジュン投手(斗山ベアーズ)が提示された2万5000ドル、イム・チャンヨン投手(サムスン・ライオンズ)が提示された65万ドルという額を、当時の球団が拒否したとも紹介している。
金額にシビアな韓国球界だが、一度だけ例外があった。その人物は“伝説のジャーニーマン”と称されたチェ・ヒャンナム投手のケースで、39歳だった2009年に、たった101ドルで海を渡っている。
移籍で賛否両論が巻き起こるのは特別珍しいことではない。とはいえ、今回の上沢のケースは日ハムファンに同情する声も少なくない。
入団会見が「謝罪会見のような雰囲気」とも言われた上沢だが、ピッチングで外野の声をかき消すことが出来るのか。新シーズンの投球に注目だ。
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