2月10日、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領が謝罪を求めた。
その相手とは、保守系最大野党「国民の力」から出馬したユン・ソギョル(尹錫悦)大統領候補で、政権発足時には前政権の“積弊”(長期間蓄積された害悪)を清算すると発言したことについてだ。
遡ること2016年12月、ユン候補はパク・クネ(朴槿恵)前大統領の国政壟断疑惑事件捜査特別捜査チームの首席派遣検事を務め、2017年5月に第59代ソウル中央地検長に任命された。その後、2019年7月に最高検察庁検察総長に任命された人物だ。
今回の怒りは、ムン大統領の全面的な信頼によって検察総長にまで上り詰めたユン候補が、現政権を“積弊”と表現し、政権獲得時には捜査すると発言したことに対する不快感だった。
先立ってユン候補は9日、韓国メディア『中央日報』とのインタビューで、「ムン・ジェイン政権初期のように、前政権の積弊清算捜査をするのか」という問いに、「現政権の初期に捜査したことは憲法と原則に基づいて行い、次の政権が自分たちの不正と不法に対して捜査すれば、それは報復なのか。すべてシステムに従って行う」と明らかにしていた。
また、「民主党政権が、検察を利用してどれほど多くの罪を犯したのか。それに相応する責任を負わなければならない」とも発言していた。
このユン候補の発言に対してムン大統領は、「中央地検長、検察総長として在職していた当時、政府の積弊があるにもかかわらず見て見ぬふりをしたというのか。それとも、存在しない積弊を作り上げるということなのか、答えなければならない」と声を高めている状況だ。
ムン大統領は同日午前に行われた参謀会議で、「政府を根拠なしに積弊捜査の対象、不法行為を行ったことに対して強い怒りを表する」とし、このように言及したと、パク・スヒョン青瓦台国民疎通首席がブリーフィングで伝えた。
ほかにも、ムン大統領は同日公開された『聯合ニュース』および世界7大通信社と合同で行った書面インタビューでも、「いくら選挙時期だとしても、政界で分裂と葛藤を煽っては統合の政治に進むことはできない」とし、ユン候補を狙い撃ちにしたような発言をしている。
そして、「ノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領在任中の弾劾と退任後の悲劇的な出来事を経験しても、韓国の政治文化は根本的に変わっていない」と声を高めた。
■韓国大統領候補がまたもや失言…“嘲笑コメント”が数千件に「これは20世紀の話か?」
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