韓国の中道系野党「国民の党」のアン・チョルス(安哲秀)大統領候補が、成人が酒に酔って起こした犯罪に対して、“心神喪失・心身耗弱”を理由に減刑することを全面廃止すると明らかにした。
これは、ユン・チャンホ法(ひき逃げ事故で大学生のユン・チャンホさんが死亡し、国民が飲酒運転の厳罰化を求めた事案)などを通じて飲酒運転処罰が強化されたことと比較すると、公平性に欠けるという理由からだ。
特に、酒に寛大な韓国刑法の減刑問題に対して、一部では“酔っぱらった”は減刑の理由ではなく、むしろ加重処罰の理由だという主張が提起されてきた。
そんななか、「国民の党」アン候補は2月4日、「当選時には、政府案で飲酒犯罪に対して減刑裁量権を置くことができないよう刑法を改正し、酒酔い減刑を全面廃止する」と明らかにした。
アン候補は同日、自身のフェイスブックで、「飲酒状態の犯罪だとして刑を減刑するのは望ましくない。飲酒運転処罰を強化しながら、飲酒犯罪を減刑するのは矛盾だ」とし、「同一の犯罪行為に対して、泥酔状態だったという理由で善処を施すこと自体が公平性に欠ける。むしろ、より重い責任を負わせ、飲酒後の行動に警戒心を持たせることが正しい」と説明している。
また、「一部では、責任がなければ犯罪は成立しないという刑法上の責任主義原則を取り上げているが、成人の自発的飲酒による犯罪行為を、責任のない行為とみなすのは行き過ぎた解釈。成人は、本人の意志で事前に充分自制しなければならない」と述べた。
そして、「“酒を飲むと、そんなこともあり得る”と、いい加減に誤魔化そうとする社会的雰囲気が、より多くの犯罪を発生させる。飲酒にとどまらず、善良な市民の安全が脅かされる状況では、これを強く遮断して対応すべきだ」と伝えた。
韓国の刑法第10条2項では、「心身障害により、前項の能力が弱い者の行為は刑を減軽することができる」と規定しているため、酒に酔った状態を心身障害と解釈し、減刑措置を悪用されてきた前例が多かった。
しかし、大半の国では泥酔者に対して例外条項を設けていない。
韓国OBS『ニュース今日』のチェ・ダンビ弁護士によると、アメリカは酔っぱらっていたことを犯罪に対する弁明とは認めず、イギリスはむしろ、より重い処罰を科す。スイスは他意によってではなく、恣意的に泥酔して犯した犯罪に対して処罰するというスタンスだ。
韓国と似た減刑制度を持っているのは日本ぐらいで、日本は泥酔者を心神喪失者と見なして減刑する場合がある。
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